見出し画像

【第73回】内閣府「2022年版防災白書」閣議決定

質問 2022年版防災白書では地区防災計画に関する記述はどうなっていますか

概要

 ①22年6月10日に内閣府の防災白書が閣議決定
 ②地域防災計画に地区防災計画を定めているのは2,030地区
 ③5,181地区で地区防災計画づくりが進行中
 ④計画の作成主体は97%が自治会と自主防災組織
 ⑤制度創設8年で更なる浸透が期待

解説

①22年6月10日に内閣府の防災白書が閣議決定

 2022年版(令和4年版)防災白書が、2022年6月10日に閣議決定されました。
 地区防災計画については、「住民主体の取組(地区防災計画の推進)」という項目が設けられて、最近の状況について詳述されています。

②地域防災計画に地区防災計画を定めているのは2,030地区

 地区防災計画の策定状況ですが、2021年(令和3年)4月1日現在で、37都道府県140市区町村の2,030地区で地区防災計画が地域防災計画に定められているとしています(新たに反映された計画は316地区。)。
 掲載されている図表によると、計画を定めた地区数の上位は、山梨県529地区、神奈川県284地区、東京都168地区、長野県163地区、熊本県158地区、兵庫県133地区の順番になっています。
 なお、青森県、福井県、滋賀県、和歌山県、島根県、広島県、徳島県、佐賀県、大分県、沖縄県では、地区数が0となっています。

③5,181地区で地区防災計画づくりが進行中

 47都道府県310市区町村の5,181地区で地区防災計画の策定に向けた活動が行われている旨が記されています(新たに活動を開始したのは1,143地区)。
 掲載されている図表によると、福井県806地区、宮城県372地区、兵庫県372地区、熊本県369地区、大分県367地区、大阪府354地区の順番になっています。

④計画の作成主体は自治会と自主防災組織で97%

 新たに地区防災計画を地域防災計画に定めた56市区町村316地区の事例を分析したところ、地区防災計画の作成主体は、自治会が55%、自主防災組織が42%で、両者をあわせて97%でした。
 また、計画の作成範囲は、単独の自治会が82%、小学校区程度が14%であり、地区内人口は、500人以下が66%、1,000人以下が77%でしたが、2万人を超える地区もありました。
 地区防災計画策定のきっかけは、86%の地区が「行政の働きかけ」をあげており、「地区居住者等が自発的に取組を開始」したことをあげたのは、10%だけでした。
 計画内容については、「対象範囲」「基本方針」「地区の災害リスク」等の基本的な情報のほか、「情報収集・伝達方法」「発災時の組織・体制」「物資・資材の備蓄」「避難時の支援・誘導」「防災訓練」等が多いことが判明しました。

⑤制度創設8年で更なる浸透が期待

 白書では、地区防災計画制度の創設から8年が経過し、地区防災計画が更に浸透していくことが期待されるとしています。
 地区防災計画では、その計画の質や発災時に本当に機能するか否かが重要であることから、いたずらに計画数のみを強調するのは妥当ではありませんが、地区防災計画が、燎原の火のように全国に広がっていることを示していると思われます。

文献
・内閣府,2022,「2022年版(令和4年版)防災白書」.


この記事が参加している募集

#みんなの防災ガイド

2,769件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?