私の死生観 3

あなたは幽霊の存在を信じるだろうか
見える人には見える
でも大半の人には見えない
だから信じる信じないの話がでる

私は幽霊、
死んだ後も未練なのか後悔なのか
この身から離れた魂がここに残ることはあると思っている
そして自分に気付いてほしいという思いからか
もしくは自分の仲間を増やしたいからなのか
自分の存在を知らせるために生きている人間に何かをして表す
それを私たちは怪奇現象と呼ぶ


死生観とは観点がずれているのではと思うかもしれない
でも私に起こったことは事実だし
死後の魂がここに残ったりもしくは次の世界に生まれ変わることを私は信じて疑わないし
そのおかげで大切な人との今生の別れに対しての気持ちの切り替えができた
だから今日はその私の体験について話そう


幽霊に憑りつかれる

馬鹿げた話では決してない
悪ふざけではない
本当に私の身に起こったこと


始り

あれは一戸建てに引っ越しをして自分の部屋(城)を手に入れてからのことだ
間取りとして玄関は吹き抜けで右手に2階へと上がる階段その横にトイレがある
2階に上がると右手に畳の客間がある
階段の向かって奥に2部屋あって右が弟、左が私の部屋だ
私の部屋に入るにはまっすぐ行ってやや右に曲がる必要があった
それは客間の壁があるためだ
だから私の部屋の前には半畳程度のスペースがある

弟と私の部屋には薄い衝立板があってそれを外すと部屋がひとつになる構造だった
しかし薄い板でもよい
私は自分の一人の空間を手に入れたのだ
6畳という決して広いわけではない私の城
引っ越し前からベッドと学習机を決めていた
小学生なのにセミダブルの良質なマットレスのベッド
お金持ちでもなんでもないのに引っ越しという心躍るイベントから両親の財布は開きっぱなしだったのだろう
ベッドと机が置かれるとかなり狭い部屋にはなったが
それでも私は幸せだった


毎日私たちきょうだいは20時におやすみなさいをするこどもだった
テレビは20時以降見てはいけないことになっていたし1日中散々遊び倒していると自然と眠気がくるのだ
(現代のこどもはなぜ夜更かしできるのか不思議でしょうがない)

異変

引っ越しをして数か月がたったある日
私はいつも通り20時に2階へ上がり眠る

1時間くらいすると私は1階をに降りて両親の横を通り自分の部屋にもどる
なにも話さない
ただ無言で通りすぎたと言う

その日から毎日それを繰り返すようになった
日に日にその歩く時間が長くなる
ただ無言で家の中を歩くのだ

はじめのうちは両親も寝ぼけているのだと気にもしていなかった
数分そうしていても2階に行って眠り朝には何事もなかったかのように起きてくるのだ

そして私はなにも覚えていない
「わたし」は眠っているのだから
でも歩いている私は目を開けているしどこにぶつかるわけでもなく歩きまわる

そんな日が続き、両親は不安になった
こんなことが続くと玄関を開けて外にでていくかもしれない
もしかしたら窓をあけてそこから飛び降りてけがをするかもしれない

その家は1階の下が車庫となっているので構造的には3回建てだ
窓を開けると地面まで2mくらいの高さがあるのだ


夢遊病

今ならそうだったのかもしれないと思うのだが
母は何か良くないものに取りつかれたのではないかと心配した
親戚に仏道の修行をしている叔母がいて、その叔母の知り合いに相談することになった
遠いところからわざわざ来てくれたその人はいわゆる霊媒師
私の身に起こっていることを私は知らない
でもただ事ではないことが起こっていることはわかっていた
知らないおばあさんが会いに来たのだ

霊媒師といっても普通の初老の女性で温かみのある人だった
人見知り気味の私でも初対面から普通に話すことができたのはその人の持つ人柄だろう
その人は家の中、家の外も歩いて見て回った

真相

家から50mのところに崖がある
崖を降りると広い広い林となっているところだ
昔そこで自殺をした人がたくさんいたという
そしてその自殺者の中におばあさんがいてそのおばさんが憑りついているというのだ
名前も教えてもらった(亡くなった方とはいえ本名をここで明かすことはなんだか申し訳ないので控えるが)

ではなぜ私に憑りついたか

私の部屋は客間があるおかげで左にやや曲がってから部屋に入る
逆に私が部屋から出るときは右に曲がるのだがその角度がちょうど北向きになっている
北の方向にまっすぐ部屋から出ていくことになる
それは霊道、鬼道つまり霊が通る道だったのだ
その霊道を毎日行き来しているうちにおばあさんが私に憑いたということだ
おばあさんはさみしかったのかもしれない
自分で選んで死んだはずだが後悔やこの世への未練があったのだろう
一人さみしくここに残っていたのだ
そしてそんなときに私が現れた

除霊

霊媒師さんが私の除霊を行った
私の意識はないから何を話したのかはよく覚えていないけれど除霊中にそのおばあさんの言葉を話していたという
「連れていきたかった」

危うく私は死ぬところだった

部屋も除霊をしてもらった机の引き出し、たんすもすべて開け白い紙がたくさんついたはたきのようなものを振り払いながらお経を唱えていた

そして私の部屋の扉は開かずの扉となった
私の城がなくなってしまった

閉めた扉を開けてしまわないように半畳ほどの私の部屋の前のスペースにクローゼットが置かれた
そして扉の上に造花でよいから黄色い花を飾ってほしいと言われ飾り付けた
この黄色い花はそのおばあさんが好きだったからだそうだ

さらに毎年お盆の期間は崖にお線香とお供え物をして供養するように言われた


結果
私の夜の徘徊は止まった

病気ではない、幽霊に憑りつかれていたというのは間違いないということだ

幽霊に憑りつかれたからといって私には霊感はないし見たこともない
ただその時そういう状況だったということだ

思い

だから私は幽霊の存在は否定しない
ただ
やはりこの世に未練や後悔を残すことはしたくないと思う
一度きりの人生だ、死んだら終わりなのだ
だからこそ今日の自分を今の自分をどう生きるか
どんなに頑張って生きたとしても生き抜いたとしても
人間は欲深き生き物だから後悔はあるかもしれない
やり残したこともあるはずだ
でも今できることをちゃんとやって
今をちゃんと生きていれば
死ぬときに思えるのではないだろうか

私は幸せだった、と

 
そしていつやってくるかもしれない絶対の死に対して
自分だけでなく家族や友人など大切な人にも後悔しないでいてもらえるよう
日ごろから自分の思いを伝えあい常に感謝と愛を伝えた方がいい

言ってしまった後悔より言わない後悔のほうが未練が残る
「ありがとう」
「いつも助かっているよ」
「大好きだよ」
恥ずかしい言葉も伝えておけばよかったと後悔はしたくない


人間だからできる最高のコミュニケーション
話すということ
大切にしたい


補足

あの体験があったあと
毎日のように仏壇に向かって成仏できますようにと念仏を唱えた
毎年言われた通りにお盆の時期になると崖にお線香をあげた

おばあさんは成仏できただろうか

数年後私が大人になったあと、その部屋の扉は開放された
扉の上には黄色い造花の花は飾られたままで

開放後、何も起こらなかった
お盆の供養は私が実家を出たあとも母が続けてくれていた
母が亡くなったあと私が実家に戻り行っていたけれど、今では私も実家を離れてやめてしまった

成仏して新しい世界で今度は幸せに生きていてほしい
お盆の時期になるとふと思い出してそう願う









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?