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難聴者で手話も使う私が、ありのままを理解してもらうのは難しいのかな?という話

私は自分のアイデンティティが難聴者と思っており、人工内耳と補聴器を装用しているが手話も大事にしている。手話の奥深さ(文法、CLなど・・)に惹かれている。
ただ、周囲はそのような私をありのままに認めてくれない人もいる。
私は説明が苦手なので、パワーポイントで手話通訳者向けや聴者向けに作ったことがある。

・私からの発信は声だと発音に気を取られるので、筆談でやり取りします。
・口話(口の形を読み取る)だと推測しながら聞くので、理解が難しいため筆談でお願いします。
・手話は発信は苦手ですが、受信は声なしで日本手話でお願いします。

と細々と伝えている。それでも、次のように言われたことがある。

「話せるなら、声は出した方が良いんじゃない。」
「筆談しなくても(あなたの声は)分かるから大丈夫だよ。」
「ゆっくり話せば分かるんだよね。」

一切、口話が苦手なことを忘れられて「もっと大きい声で。」と言われたこともある。相手はもちろん筆談をしてくれない。

聴者に言われたことは多くあるが、同じ難聴者に言われたこともある。

一方、ろう者と話そうとすると、私が手話が言いたいことを伝えらず気まずい思いをしてしまうことがある。
そのような中途半端な立場での悩みを誰かと共有したいこともあるし、手話をもっと磨きたいと思うが、そのような場所が少ないと思っている。
私は難聴者でも手話を肯定的に捉えているが、声を選択している人も否定はしないようにしている。ただ、声を選択している人から先述のようなことを言われたり、「自分の世界」に招き入れようとされると抵抗感を抱いてしまう。
中途失聴の人に「人工内耳をしているんだね。私もよ。」までだったら良いけど、そのあと声でペラペラと話されるのが苦手だ。コミュニケーション方法についてはお互い確認した方が良いのかもしれないが、うまく切り替えてくれないと結局は私が合わせることになる。
「声が好きだけど、あなたは声は苦手で筆談や手話が良いのね。」と話した上で、難聴者としての悩みを共有し合えれば良いのだけど、なかなかうまくできない。

生まれつきの難聴者でも、手話を選ばない人はいる。そういう人達も否定はしないけれど、私からは筆談でコミュニケーションをしようとするとよく言われるのが、同様に「書かなくてもあなたの声は聞こえるから大丈夫だよ。」と言われる。そして、「私とあなたは聴力は同じくらいなのだから、あなたも口話でも大丈夫じゃない?」と言う。
私がこれまでの人生で口話か手話かで葛藤をして苦労して選択した道があるから、「大丈夫ではない。」のだ。そういう人は口話のみを使い、筆談をする習慣がない人もいる。
聴力だけで測れるものではなく、個々によってアイデンティティの選択は違うし、コミュニケーション方法の選択にもそれぞれの背景があると思うのだ。

もちろん、お互いがコミュニケーション方法が違うとかコミュニケーション方法の相性が悪いと、なかなか相手の言いたいことがつかめないことがありもどかしい思いをする。
私のような難聴者は手話を使う時もネイティブではないので、ろう者とも理解し合うことに時間がかかるし、聴者とも音声優先の中で息苦しさを感じることがある。
難聴者といる時も「手話を否定したり、自分がろう者の手話について話している内容が理解ができず、日本語が苦手なろう者を下に見る人と出会うと」嫌な気持ちになってしまう。
手話は言語であり、日本語と同じように自由に語り合えるし、ろう者の手話語りを聞くと見分の広さに驚く。
私はかつて日本手話のことを理解できなかった時は、言語の1つと言うことも深く理解できていなかったので、ろう者の語りも分からず「日本語がどうしてできないんだろう?勉強すれば良いのに。」と不思議に思ったことがある。
今も日本手話の文法の一つひとつの知識は漠然としているが、ある程度手話動画を身近に感じることができるようになったのは、手話を言語として捉えられるようになったことかもしれない。

私が口話のみのコミュニケーション方法しか持っていなかった時期は言いたいことが自由に言えず、苦しいことがあった。本当は頭では色々考えていたのにも関わらず。
だから、コミュニケーション方法が違っても、マイノリティーで使われるコミュニケーション方法が第二言語のためできないと知的にも劣っているように誤解されてしまう辛さはろう者と同じかもしれない。
そのため、日本語ができないからと言って下に見ることは悲しいと思ってしまう。自分の言語があれば、きちんと語れるのに。

私のような思いを持っている人や共感してくれる人と出会い語れたら、話題が尽きないと思うので、性格の相性もあると思うけれど、私が大切にしたいことをつらつらと記載してみました。


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