この地球で生きているかぎり

はじめましてのかたははじめまして。そうじゃないかたは再訪ありがとうございます。

肉より魚が好きになりつつあるチキ野です。麺類に至っては結構前からラーメンより蕎麦のほうが好きです。うどん派かそば派か？という質問は、申し訳ない、愚問です。（注：うどんよりラーメンの方がなんとなく一般的に人気なのかな、という謎の前提があります）

私ですが、幼少の時よりアトピー性皮膚炎という病気でして、慢性的に皮膚が荒れやすかったり、かゆくなりがちでございます。皮膚のバリア機能が弱い体質なんです。

なので、小さい頃はよく親に皮膚科に連れていってもらってました。

最寄駅に皮膚科はあったんですが、もっといい皮膚科を紹介されたとかなんかの経緯でわざわざ車を出していくようなちょっと遠い皮膚科に通ってました。

自分が小学生になる前くらいから通い出し、軟膏やクリーム薬を処方されては使用し経過観察して、いったん状態が良好になるものの、再び皮膚が荒れてきたり薬が切れてきたらまた皮膚科にいく。そんなことを繰り返していました。

そして、確か中学生の終わり頃、ないし、高校生になったときくらいのタイミングで、もう慢性的な症状は見られなくなりました。デリケートすぎる体質は改善されて皮膚のバリア機能も一定以上の水準に達したんじゃないかということで、定期的に皮膚科に通うという習慣はなくなりました。

しかし、時は経って大学生になり、ファミレスでバイトをするようになるのですが、それがきっかけでまた肌荒れを起こすようになってしまいました。そのファミレスはステーキ・サラダバーのファミレスで、油などもよく触るし、頻繁に手洗いはするし、忙しい時期は結構汗もかいていたので、確かに、アトピー性皮膚炎が再発するにはうってつけの環境だったと思います。そうして再び、以前通っていた皮膚科にいくことになるのでした。よくない意味での凱旋ですね。

皮膚科の名前は、「村山皮膚科（仮名）」というところで、おそらく高齢で女医の村山先生が番を張っている病院です。先にありました通り、私はここに小学生くらいから高校生になるくらいまで（９年間くらいだったんでしょうかね…）通い、村山先生にお世話になっておりました。長い期間をかけて治していただいたのに、３年くらい経ってからまた看てもらうことになってしまい、申し訳ない気持ちでした。しかし村山先生はとても優しい方なので、以前と同じように物腰柔らかく治療に応じてくれました。

軽く、村山先生がどんな方か紹介します。見た目は、ものすごく華奢で、かなりがっつり白髪（上でおそらく高齢という表現をしましたが、このなんにも隠そうとしないがっつり白髪でそう見えておりました）、気品のある顔立ちで、話し方も上品さを感じられずにはいられないような雰囲気でした。上品かつ、聞こえるか聞こえないかくらいの声量もあいまって、物腰はとにかく柔らかく余裕のある感じの方でした。

しかし、こんな柔和なイメージの村山先生が、一度だけ鬼気迫る表情で私をいさめたことがあります。

上述のとおり、そもそも肌にとって厳しい環境で働いていました。それに加え、バイトの時間帯は21:00~25:00といった、いわゆる夜勤の、ド深夜から朝まで働くというシフトではなかったんですが、普通からしたらまあ健康的ではない、人間本来の生活リズムには反した時間帯で働いていたのでした。

村山先生にそのことをお伝えしたら、しっかり私に言い聞かせるようにこうおっしゃりました。あの時の力のこもったトーンの声は今でもよく覚えてます。

「あのね、人間はこの宇宙のこの地球で生きているかぎり、生活習慣という自然法則からは逃れられないの。だから規則正しい生活習慣は肌のケアにとって基本的なことなの。大前提なの。そこをクリアした上で、私が処方する薬で処置するの。そこではじめて、薬によるケアなんてものには意味があるのよ。」

村山先生の皮膚に対する考え方、皮膚科医としての信念、それ以前に他人の体を診察する専門家としての責任感みたいなものが究極に凝縮された言葉だったと思います。お医者さんなのに、必ずしも薬に頼るだけではいけないという助言、いやお医者さんだからこそたどり着いた本質的な結論だったのでしょうね。ほんとに素晴らしい、その一言に尽きます。

これまで村山先生には色々お世話になってきました。先生の処方された薬が非常に効いたのはもちろんのこと、その塗り方であったり、肌のケアにとって効果的な着衣方法であったり、色々と教えてくれました。それを実践する度にあんなにひどかったかゆかった患部が信じられないくらい治まるということを、ほんとに何度も経験してきました。なので、先の村山先生の言葉は、なおさら自分にとっては胸に響くものでした。

このお言葉を頂いてからよく思うのが、

スキンケア系の話題になったときに、「肌綺麗だねー。どんなクリームどんな化粧水使ってるの？」って、クリームや化粧水の話になりがちですが、

大切なのは、規則正しい生活習慣を保つことなんだ、ってことです。

ちゃんと寝て、ちゃんと食べて、ちゃんと運動する。

規則正しい生活習慣をベースにまず考えよう、と。それが大切なんです。それを疎かにしてはいけないんです。本質なんです。その基本が達成された上での薬品類によるケアなんです。

村山先生、本当にありがとうございました。皮膚の治療から始まり、人間の真理についても教えて頂けたような気がします。心より感謝しております。少年期からの私の心に住み着いた、あなたは私にとっての第二の母です。

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しかしながら、そのお言葉を頂いてからも大学時代のファミレスのバイトは、大学卒業まで21:00~25:00でやり切り、

社会人になった今も、とりあえずテッペンは基本的に過ぎちゃうような夜更かしの日々を過ごしているのでした。

先生、私は元気です。最近ちょっと手が荒れたりしてます。

ではまた次回。