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#07 思考の癖でやる気は変わる

 前々回(#05)僕たちが頻繁に挫折をすることは脳の仕組み上仕方ないという話をしました。前回(#06)そんな挫折しやすい脳を持った僕たちが挫折しないためには戦略的に目標を立てる必要があるが、逆にいれば戦略的に目標を立てさえすれば目標の達成率が上がるらしい。という話をしました。

 とはいえいつもやる気に満ちていて、成果を出しているアイツと僕の違いはなんなんだ。。。と思うことはないですか?
 そんな方は自分にあった、やる気の出る思考の癖(マインドセット)を理解すると良いかもしれません。

 今回はコロンビア大学モチベーション・サイエンスセンター副署長ハイディ・グラント・ハルバーソンが書いた「やる気が上がる8つのスイッチ」に記載されている3つの軸(マインドセット、フォーカス、自己効力感)について説明したいと思います。
 本書では3つの軸の組み合わせによって、やる気の出し方は8つ(のスイッチ)に分けられる。今のあなたに必要なのはどのスイッチなのかを把握することが重要だよ!と教えてくれています。当記事では3つの軸について説明しますが、8つの組み合わせ方も面白いのでぜひ読んでいただきたい本です。

それではここから3つの軸について説明していきたいと思います。

証明マインドセットか成長マインドセットか

 マインドセットとは思考の癖のようなものです。「やる気が上がる8つのスイッチ」の中で著者は、僕たちは次の2つのマインドセットを持っていると述べています。

「証明マインドセット」
「成長マインドセット」

この二つのマインドセットの特徴を簡単に説明すると、
証明マインドセットの人は「すごいと思われたい」と考える。
成長マインドセットの人は「すごい人になりたい」と考える。

 結論から言うと、成長マインドセットの人の方が困難に直面した時に粘り強く頑張り続けることができるようです。

 証明マインドセットの人は、才能は生まれ持ったものであり変わらないと考えており、他人と自分を比べ、ミスを恐れる傾向があるため実現できそうにない課題には挑戦しない。一方、成長マインドセットの人は努力次第で何事も成長する。と考えるため他人と自分を比べる事がなく、困難なことにも粘り強く挑戦する事ができるという特徴を持っているそうです。

 この証明マインドセットと成長マインドセットについては、スタンフォード大学心理学教授キャロル・S・デュエクが「マインドセット「やればできる!」の研究」の中で「硬直マインドセット」と「しなやかなマインドセット」として詳しく説明しています。

 僕はこの「マインドセット「やればできる!」の研究」を始めて読んだ時かなり衝撃を受けたことを覚えています。僕は元々完全に証明マインドセットで、何も証明できていない自分は何をしてもダメだと感じていましたが、マインドセットの方向が間違っていたことに気づいたからです。そしてマインドセットも努力次第で変えることができると気づいたからです。

 もしこの記事を読みながら、自分は証明マインドセットだなーと落ち込んでいる人がいたら、まず気づいた事が成長です。一緒に成長マインドセットを手に入れましょう^^

獲得フォーカスか回避フォーカスか

 フォーカスとは、何かを「獲得」することにフォーカスすることでやる気が出るタイプと、回避することにフォーカスすることでやる気が出るタイプの2種類があります。例えば、資産を増やすことにフォーカスすることでやる気が出るタイプと、資産を減らさないことにフォーカスした方がやる気が出るタイプの違いです。
 しかしマインドセットと違うのは、どちらかが良くてどちらかが悪いと言うことではありません。自分は「獲得」することにフォーカスした方がやる気が出やすいのか、「回避」することにフォーカスした方がやる気が出やすいのかを認識する必要があるということです。

自分が「獲得」フォーカスか「回避」フォーカスかを認識するポイントは下記です。

○称賛を得たいのか、批判を回避したいのか
○リスクは挑戦するものか、回避するものか
○抽象的に考えるか、具体的に考えるか
○スピードか正確さか
○そこに到達したいのか、滞在したいのか

 経験則で恐縮ですが、僕はもともと「回避」フォーカスだと思っていました。しかし最近は「獲得」フォーカスになっているように感じます。つまり環境やフェーズで自分の考えも変わる可能性は往々にしてあるのではないか?と思っています。
 自分がどちらのタイプか定期的に自己内省をすることをおすすめします。

自己効力感はあるか無いか

 最後は自己効力感の有無です。自己効力感とは、wikipediaには「自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること」と記載されています。

 やる気の話でいうと自己効力感はもちろんある方が良いそうです。

カナダの心理学者アルバートバンデューラーは自己効力感は下記4つの要素で構成されていると述べました。

①成功体験:過去の成功体験が自己効力感をあげてくれます。
②他者の体験から学ぶ:他者の体験を追体験することで、体験を知ることが役立ちます。
③他者からの保証や警告:他者からのフィートバックにより自己効力感が高まるそうです。
④その時々の私たちの気分:日々僕たちが感じている自己効力感のUPDOWNはこれに近いかもしれません。

自己効力感を高めることは、モチベーションを維持するのに非常に重要です。また、成長マインドセットを持っていれば自己効力感も自分の行動や考え次第で高くできると思えてきますよね。

最後に

 僕はもともと、やる気は個人の性格に依存するものだと考えていました。あの人は毎日楽しそうにやっているのに、なぜ僕は。。。と
ただ、そのマインドはまさしく証明マインドですよね?
 何事も努力次第で成長できると考えた時から何かが変わり始めるかもしれません。どうせ考えるなら、良いと言われている思考に癖づけてみてはいかがでしょうか。

また今回参考にした「やる気が上がる8つのスイッチ」では、ここで紹介した3つの軸を組み合わせた8つのスイッチのうち、今の自分はどのスイッチなのかわかりやすく解説しています。
 どうやら、やる気スイッチはあったようです。ぜひみてみてください。


マインドセットについて詳しく解説してあるこちらの本もリンクを貼っておきます。