見出し画像

リズミカル・カジ

新しく買った本の、まっさらでつるっとしたページに最初の折り目をつけるときは、いつもどきどきする。本棚のスペースは限られているから、いつも買った本は、読んでいる間中、売りに出すか手元に残すか考えながら読む。

今読んでいる本は、「わたしの台所」というエッセイなのだけれど、ちょっと説教くさい、古臭いところが多かったので売ろうかなという方に気持ちが傾いていた。でも昨日、「リズミカル・カジ」という章を読んで気持ちが変わる。「こんなこと」=家事じゃなくてもっと“高尚なこと”に時間を割きたい、というところに痛く共感し、でも、それでも、今日もリズミカルにカジをする、というところで、私はそっと折り目をつけた。

誰のものでもない本が、「私の本」になった瞬間だった。

「こんなこと」と「高尚なこと」は地続きになっている、というか、「高尚なこと」は「こんなこと」の先にしかないんだと思う、きっと。

それでは、また。

サポートありがとうございます。みなさまからの好き、サポート、コメントやシェアが書き続ける励みになっています。