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金魚掬い 第五話

紗菜はこの頃、滅法口数が少なくなった。十六歳、という歳も勿論関係しているのだろう。

しかし、ただ年齢のせいだけにしてはいけない何かが、そこにはあった。

彼女は口をきかないどころか、私と目を合わそうともしなくなった。時々しつこいくらいに紗菜、と呼ぶと、彼女はふいにこちらを向いた。

紗菜の真っ直ぐな瞳とぶつかる。

その瞳は怖いくらいに透き通っていた。私の胸の内を見透かした上で、尚私を責めているかのような瞳であった。

思わず眼を逸らしてしまうのは、いつも私の方だった。

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