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金魚掬い 第三話

がちゃがちゃ、と玄関から音がして、私は慌てて手の中のページを繰るのをやめた。そのまま閉じて、引き出しの中に仕舞う。

もうこんな時間か、と思いながら私は玄関に向かった。

「おかえり」

「ただいま」と娘は言った。少し、疲れているようだ。

「何か飲む」

「いいよ……自分でやるから」

そう言って、ぺたぺた音を響かせながら紗菜はぱたんとドアを閉めた。

手持ち無沙汰になった自分が、少しばかり憎かった。

ノートを再び手にする気力もないまま、私は既に磨き上げたばかりの台所のテーブルの上で、ただぼんやりと手を動かしていた。

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