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現代文読解の道標《特別編》~現代文Q&A②「現代文を復習して、意味あるの?」(後編)

 皆様こんにちは。
 現代文講師の竹中です。

 前回の記事では、「現代文の復習に意味はあるのか」という質問にお答えしました。
 結論から言えば、「模範となる過程を再構築する場として、復習は多いに意味がある!」ということでしたね。
 今回は後編として、どのように復習すればよいのか、その具体的な方法をご説明します。

①復習のタイミング〜忘却曲線を逆利用!

 よく暗記のタイミングの指標として活用されるものに忘却曲線があります。これは、記憶から6日後には内容の8割近くが忘却されるというもので、早めの復習の必要性を訴える資料としてよく用いられています。
 
 しかし、現代文では授業直後に復習するのはあまりおすすめできません。むしろ授業後から少し時間をあけて、内容をほぼ忘れかけたときに初見のつもりで解き直した方が良いトレーニングになります。

 なぜなら、現代文における復習の目的は、記憶の定着ではなく思考による過程の再構築にあるからです。一からその文章に向き合い、手がかりを辿りながら要点や根拠文を発見していくことが大切なのです。下手に授業内容を覚えていると、どうしても自分の記憶に頼ってしまい授業内容を思い出そうとしながら文章を読んでしまいます。これでは、正面から文章に挑むことは難しいでしょう。
 
 ですから、忘却曲線を逆に活用し、授業から1週間程度あけて内容を忘れかけている状態で復習し、記憶に頼らず正面から文章に向き合いながら過程を再構築していきましょう。 


②「読み」と「解き」でわける!

 現代文で試されている力は「読む力」と「解く力」である、と僕は考えています(詳しくは本記事の1つ「大学入試現代文の道標①」をご覧ください)

 これは復習においても同じことです。両者を混合しながら復習を進めてしまうと、「読む力」と「解く力」のどこに弱点ががあるのかわかりづらくなり、結果として復習の効果が半減してしまいます。よって、復習では文章を「読めている」、設問を「解けている」の2つをしっかり分けて取り組んでいくことをお勧めします。

 具体的には、始めに「文章が読めている」かをチェックし、次に「設問が解けている」かの確認へと進んでいきます。


③まずは「読み」の復習から!

 まずは、文章を通読し内容が「読めている」かを確認をしましょう。その際に、「段落毎の要点を簡単にまとめる」「その要点となる文になぜ注目できたか、その理由まで確認する」の2点を必ず行いながら、全体の内容を捉えなおします。また、記述問題対策、あるいは小論文などが必要な方は、全体の要約を300字程度で作成すると効果的です。

 その際、要点となる文などには必ず線引きをすること。自分の思考の過程をビジュアル化することで、授業内容と比較しやすくなります。

 その後、板書ノートなどを見て、授業で先生が示した要点及びその要点に至る過程とを照らし合わせ、先生の辿り方と自分のそれをしっかり比較、修正点などを明確にします。 


④次に「解き」の復習へ!

 文章の「読み」について復習が終わったら、次は設問の「解き」に移ります。

 こちらもまずは、初見の問題を扱いつもりで、自分でしっかり解答すること。その際には解答するだけではなく、「解答の根拠文を示す」「なぜそこが根拠文だとわかったか、その理由まで明確にする」の2点を心がけましょう。もちろん、根拠文などへの線引きも忘れずに。

 その後、授業で先生が示された根拠文とそこに至る過程と照合します。 


⑤疑問は成長のチャンス!

 復習を進めていくと、疑問点が浮かんでくるかもしれません。「なぜ先生はこういう過程の辿り方をしたのだろう?」「自分はこういう過程の辿り方をしたのだけど、これではだめなのだろうか?」

 こういう疑問点が出てきたら、最高の復習です。

「どうせ、自分の考えた過程なんて間違いに決まっている・・・」なんて簡単に卑下してしまい、何も考えずに先生の過程を真似することはあってはいけません。疑問とは、成長のチャンスです。先生にしっかり質問して、疑問点を解決し理解を深めましょう。

 質問する際は、自分がどう考えたのかをまとめて、先生に説明してみると良いですよ。そちらの方が先生も答えやすいですし、自分の考えを説明することで皆さん自身の表現力の向上にもつながります。


では、復習の要点をまとめましょう。

①復習は、授業内容を忘れかけたころに行う。(1週間ほどあけて) 
②復習を二段階に分け、まずは文章の「読み」を確認、次に設問の「解き」を確認する。 
③「読み」では、「段落毎の要点整理」と「そこに注目できた理由」の2点をおさえながら、全体趣旨を追う(記述対策、小論文対策が必要な方は、要約作成まで行うと効果的)。その後、授業内容と照合する。  
④「解き」では、解答だけでなく「根拠文」「根拠文だとわかる理由」の2点まで確認する。その後、授業内容と照合する。  
⑤「疑問」は成長のチャンス!必ず先生に質問する。

以上となります。

皆さんの復習に、是非お役立てくださいね。





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