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グロービスの目指す「幸福経営」とは (前編) グロービス経営管理本部長 内田圭亮

グロービスの経営管理本部長である内田圭亮に自身のかかげる「幸福経営」をテーマに聞きました。前半では、幸福経営に対する熱い思いがどのように醸成されたのか、そのキャリアから紐解きます。(聞き手:竹内銀河 グロービス経営管理本部メンバー)

自分で決めたことはやり遂げたい

竹内:まずはグロービスに入社するまでのご経歴をお聞かせください。

内田:最初にアクセンチュアというコンサル企業へ入社しました。企業の課題解決の手助けをしてきたのですが、コンサルの限界を感じていました。

竹内:「コンサルの限界」ですか!?

内田:どんなにロジックとして正しいソリューションであっても、働く人の意識や本気度が変わらないと組織も変わらないんだなと感じました。なので、より「人」に直接アプローチできる仕事がしたいと思っていました。

竹内:人が変わらないと組織が変わらない…まさにその通りですね!そして、二社目の会社へ転職された、と。

内田:二社目は、正直に言うと自分がすごくやりたい仕事というわけではありませんでしたが、自分にとってのチャレンジの意味も込めて、かなりの借金を抱え、単月で黒字化したことがない赤字続きとなっていたベンチャー企業へ行きました。事業会社で自分の力を試したいと思い、その会社を上場させることを目標に転職しました。

当時は涙無くしては語れないような辛いことばかりでしたが、何とか目標としていた上場は実現できました。

竹内:それはすごいチャレンジですね!情熱をすごく感じます!その情熱は幼少期からそうなのですか?

内田:実は小さい頃は重い喘息を患っていて、入院しながら休み休み学校に通っていた状態で、ろくに学校に行けない日も多かったのです。ただ、そんな中でも、小学5年生の3学期に皆勤賞を目標に掲げてトライしたことがあって、一日も休まずに登校できたことが自分にとって非常に大きな成功体験になったんです。

そこで、「ここからは1日も休まないぞ!」と自分に誓いを立て、どんなに体調不良でも休むことなく大学2年の5月まで無遅刻無欠席無早退の皆勤を続けました。これが自分の中の根っこにあります。

竹内:11歳から大学生ということは、約10年間もですか!それはすごい決意ですね!

内田:ただ、その記録は大学2年生の時に途切れてしまったんですけどね…1限が休講になったので二度寝をしてしまい、起きたら2限に間に合わない時間だったんですよ(笑)。

その瞬間は私の人生で3本の指に入る程のショックで、頭の中が真っ白になりましたね。自分がいない授業は1秒たりとも作らないという思いで学生生活を走り切るつもりだったので、その瞬間に目標を失い、もうそこからはほとんど授業には出なくなってしまい、その後は折角だから大学時代にしかできないことをやろうと、当時入っていたサークル活動のテニス三昧の日々を送りました(笑)。

竹内:(爆笑)振れ幅が大きすぎませんか?でも、小さい頃から変わらない信念を強く感じますね!
   
内田:自分で決めたことはやり切りたいという気持ちは強くありますね!ただ、そのベンチャーでは、すごく辛そうに働いている仲間やネガティブな理由で辞めていく仲間を多く見てきました。その時、自分の中で、「働いていることがこんなにも辛く苦しい社会というのはおかしいのでは?」という疑問が生じました。

もっと人々が自分らしく活き活きと働ける世の中を、皆が笑顔で暮らせる社会を創りたい、と考えて、グロービスにジョインしました。

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小さくまとめるのではなく、グロービスらしく成長していく

竹内:グロービスでは、グロービス・コーポレート・エデュケーション(法人研修部門)の前身部門で法人の研修を担当されました。グロービスに入社されて変わったことはありますか?

内田:はい、 アクセンチュアでは自分がプロとして一人前になるために仕事をしていましたし、2社目のベンチャーでは上場することを目標に仕事をしていました。どちらも目標を設定し、その目標達成のためだけに自分を無理矢理ドライブさせていました。

でもグロービスでは、人々が生き生きと働ける世の中を、より良い社会を創ることを目的に、日々自分が本当にやりたいことに向き合うことを重視するように考え方を改めました。

実際、「より良い社会を創る」ということは壮大な理想なので、一朝一夕にはできないですが、その果てなきゴールに向けて自分が邁進できていること自体に喜びを感じるように生き方が変わりました。

私たちの日常には、大変なことや苦労があるのも現実です。よって、何かを達成した瞬間にしか喜びを感じられないとすると、人生の大半が苦痛な時間になってしまいます。いつか来る夢を見続けてそのような状態を続けていくのでは無理があり、本当に壮大な目的に向かって走り続けることはできないのではないかと思っています。

なので、自分は目標達成そのものだけに価値を置くのではなく、そこに向き合う過程そのものを楽しむようにマインドセットを変えました。

竹内:目標への過程を楽しむということですね!僕も見習いたいと思います!そして、グロービスの経営管理本部長に就任されました。最初はどう思われましたか。

内田:まず経営管理本部の中のことで言うと、傍から見えていた印象と実際は異なりました。経営管理本部の皆さんは、社員へのホスピタリティ溢れ優しい方が多い印象は元々持っていたのですが、そればかりではなくメンバーの一人一人が強い信念を持って働いていると感じました。

また、各部署から日々様々な要望を頂くわけですが、それを鵜呑みにするのではなく、全社視点で改善すべきところと譲れないところとの折り合いをしっかりと考えているんだな、ということが経営管理本部に来て感じたことです。

グロービス全体に対する視点で言うと、従来の自分は、全体最適を安易に考え過ぎていたようにも感じます。それぞれ部署ごとの立場はあれど、もっと協力し合った方がいいんじゃないか、と思うことが何度かありました。
   
竹内:最大公約数を目指すような形ですね。

内田:でも、そのような考えだと、それぞれの尖った部分が削れてしまい、小さくまとまってしまうと思うようになりましたね。それでは各部署の良さが薄まってしまうな、と。

それぞれの部署がグロービス・ウェイ(グロービスの基本的理念・指針)に沿って求心力は持てているのであれば、あとは思い切り遠心力を働かせてそれぞれの最先端に向けて広がっていくことがグロービスらしい成長の在り方なのではないかと考えるようになりました。その求心力と遠心力を最大化させる役割を経営管理本部が担っているのだ、と考えています。

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