パターは、強めに打たねば入らない!?
2019年全英女子オープンで優勝した日本人女子プロ渋野日向子の最後の一打。強めのパティングで勝負を決めたあの瞬間を、ゴルフファンであれば、誰しも昨日のように鮮明に覚えているに違いない。
本日語りたいのは、パターはきっちり100%の強さで打つのが良いのか、それとも若干オーバーするのを怖がらずに、やや強めに打つのが良いのかという、素朴な疑問である。
日本人の男子プロ松山英樹が、アジア圏のプロとして初のマスターズチャンピョンとなったのが2021年。女子も男子も、樋口久子プロ(1977年全米女子プロゴルフ選手権優勝)以来、これまで果たせなかったメジャータイトルを、次から次へと獲得していった。
それから二、三年しか経たないが、松山プロの闘いを深夜から御前様で応援することもしばしば。しかし、あれだけドライバーに安定感があり、アイアンがキレているにも関わらず、最近はパターの調子がすこぶる悪い。
本来ならば、世界の強豪揃いの中でも、常にトップ5に入るべきプロながら、松山プロの3日目の猛チャージも影を潜めている。
特に、冷や汗が尽きないのがパッティングである。ジャック・ニクラスやタイガー・ウッズ、日本の青木功プロなどのプロたちは、パッティングの距離が超ロングであろうがショートであろうが、果敢に攻め、強めに叩いてスコンスコンと入れてきた。
しかし、マスターズというメジャーのメジャーを獲得した松山プロのパッティングの様子を見ていると、慎重すぎて硬すぎる。100%の距離感を徹底追究しているのか、あと半転び、一転びのところでショートとなり、カップインしないケースが多いように思えてならない。
仮に、18ホールのグリーン上で、2mほどの微妙なパーパットが10本残った場合、強めに攻めるのがパーの確率が高いのか、きっちりと100%お手本のようなパッティングがパーの確率が高いのかを考えてみた。
素人ながら申し訳ないが、「届かなければ入らない!」という結論に達し、やや強めに打つ方がパーの確率が高いと判断するのである。
大会初日に2mほどの微妙なパーパットが10本あり、弱過ぎて届かねば、カップに入る確率はゼロ、全てボギーとなり10打損をする。また、10本の内の半数がパットが強過ぎてボギーが3つ、ダブルボギーが2つあったとしても、7オーバー。弱過ぎて入らぬよりも、3つほど得をする。
これは素人の数のお遊びに見えるかも知れないが、考え方次第なので、100%きっちりナノ単位でパーフェクトなパティングを目指すのが良いのか、大胆不敵にオーバー目にカップを狙う方が良いのか。最終的には、メンタルの問題に行き着いてしまうのである。
結局、科学的根拠はないが、上の確率を仮に逆算してみると、カップに届かぬ弱いパッティングであれば、強めに打つよりも4日間で12打損してしまう。よって、どんなにバーディーやイーグルが獲れたとしても、トップグループにいる海外プロとは、4日間で12打以上の差がついてしまう。
トップグループにいるプロたちは、勿論、ドライバーも安定し、アイアンもキレにキレている。ただ、パッティングは思いの外、大胆不敵に強めに狙っているように思えてならない。
<仕事観とパッティング>
蛇足ながら、ふと我々の仕事仲間のことを考えてみた。仕事にも目標というものがあるが、その目標きっちりと100%を目指して動くよりも、110%、120%、150%と、パッティングと同様に強め、選択肢も多め、範疇を小さく区切らず、際限のない可能性をもって目指すのが、ベストな展開ではないかと考えるのである。
因みに、周囲にいる知人友人は結構慎重派が多い。全てに共通していることは、自分の尺度により範疇を縮めたり、ターゲットに対して相手の都合で動かされ、初手からイニシアティブを取られている人が多い。だから、カップインする可能性が低いのだろうと、結論づけていたところであった。
※映像はMidjourneyで生成したもの