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ミスター・おにぎりマン(第3話)

 「この会社に赴任して気づいたのは、ボンクラ揃いであることだ。旧体制側の老害も耐え難いが、信者たちは考える力もなく、完全に一商店の主人と丁稚の関係にある。」とぼやきまくる、ミスター・おにぎりマン。

 旧体制側と対峙の関係を築き、或る時は旧体制側へ猫撫で声での「懐柔策」、或る時は「信者たちへの個人攻撃」、或る時は早朝から女性社員の服装(私服)検査に専念するのであった。

 「先日、取締役の一人を出張に連れて行ったのは良いが、お客様気分になっているボンクラに腹が立った。何故、出張先で私が私費でボンクラに飲ませ食わせしなければならないのか!?あのボンクラは報告書の書き方一つもも知らぬ、ボンクラの代表格だ!」と激昂し、罵っていた。

 おにぎりマンは、旧体制側にいる人間の一人一人をカツオの一本釣りように宥めすかしながら、併行して、自らの職位を最大限に濫用し、じわじわと圧力を掛ける戦法に移行して行った。

 日々のストレスが募りに募った、おにぎりマン。或る部署の責任者の個人LINEへ、それも大晦日に恫喝メールを送りつけたのである。

 「あなたの無様ぶりは恥ずかしさの境界線を超えている。いつ更迭しても構わないが、あなたほど自覚もなく仕事が捌けない人はいない!首を洗って待っていろ!」と、徹夜作業を終えたばかりで疲労困憊している人間への攻撃である。よって、恫喝メールを受けた人間は、最悪の新年を迎えることになる。

 その他、恫喝された社員たちの情報としては、ヘルペスで倒れた社員、血尿が止まらなくなった社員、耐えられなくなり配置転換を申し出る社員などが続出して行った。ほとんどの被害者は、男性社員であった。

 おにぎりマンは、実は小心者で虚栄心のかたまり。過去においても二度ほどパワハラで訴えられ、二度目では話し合いの途中でキレまくり、右足でテーブルを蹴ったのはよいが、自らの足首骨折したという大馬鹿者である。

 ターゲットとして狙い澄ました社員へは、直接的には苦笑いしながらたっぷりと嫌味を伝え、暗闇から重苦しい恫喝メールを送る手法がおにぎりマンの陰湿なる戦略である。更に、社内CCメールにターゲットとした社員の失態を全社員に暴露し、とことん追い詰めて行く。

 余りにもパワハラが続くことに対して、年明け早々に、おにぎりマンへ外部から「厳重注意」が発せられた。それから二月末までの1ヶ月間はやや静かになったように見えた。しかし、流石におにぎりマン。啓蟄の如く地面に這い上がり、パワハラのサイコロを再び転がし始めたのであった。

 因みに、おにぎりマンのスマホには、旧体制側の飲み会途中の歩く姿やカラオケで歌っている姿を盗撮した写真、また、社内では男女二人の社員が打ち合わせしているところを壁の陰から盗撮した写真などが山ほど格納されている。

 時には競合会社の社内階段(散らかっている状態)を盗撮して、その企業を全社員の前で誹謗中傷することもあった。「あの会社の社長と食事をしたのは良いが、食い方が汚い。興醒めものである!」と、陰口を叩いている。

 おにぎりマンは、兎に角小心者で、裏と表の顔を持つ多重人格症のような異常者である。酒に溺れては、深夜まで自宅パソコンのキーボードを叩き、旧体制側への鬱憤を晴らすために、自分の味方と思う人物へ毒を吐き散らす日々を送っていたのであった。

 次回は、おにぎりマンの会社へクレームをつけた人物への悪質なる対応(表面は丁重な対応として演出している)をご披露しようかと。

・・・to be continued.

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