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逸品一筆

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何と言っても、グルメは最高ですね。このマガジンでは、「これは、旨い!」と叫びたくなるほどの和洋中の逸品を具にご紹介したいと思います。ホテルレストランや町場の食事処の逸品を、是非、… もっと読む
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2022年10月の記事一覧

脇宮盛久の世界(4)・・・『造り』

<皮剥肝巻・中とろ・ごま鯖の造り>  これは、絶句するほど、旨かった。三種の刺身に、三種の割橙酢、土佐酢、ごまだれが添えられ、一つ一つの刺身の最高の味を引き出していた。  贅沢な造りだが、特に、皮剥肝巻は圧巻であった。

脇宮盛久の世界(3)・・・『小吸椀』

 先ず、器に描かれた鈴虫に目が行った。羽根のところは貝殻を施してある。和食らしさが漂う、小さな椀。蓋を開けると、中央に盛り付けられた吸い物の主役たち。  『菊花蓮根饅頭 蕪擂り流し仕立て』という、小吸椀。名残鱧射込み、松茸、菊菜、柚が食材として使われており、絶妙なる吸い物であった。  会席料理の中では、この吸い物が命であると考える。何故なら、職人の腕の高さが、この小さな椀に凝縮されているように思えてならないからだ。  最後の一滴まで飲み干し、器やその蓋をじっくりと拝見し

脇宮盛久の世界(2)・・・『前菜』

 これは、まさしくアート。職人の腕の見せ所でもあり、そのレベルが分かる。それが、『前菜』である。  和食で『八寸』というものがある。約24センチ(8寸)角の皿に、旬の食材やレアな食材を盛り付け、季節感を楽しむものだが、今回の『前菜』は、過去最高のアーティスティックな世界になっていた。  一つ一つを食す時に、脇宮盛久料理長(熊本ホテルキャッスル 細川)が説明を加え、頷きながら、唸りながら、食したのだった。至福の極みとは、こういうものなのだろうと。

こんなに丁寧に可愛く盛り付けられると、食べるのが勿体無い。

 写真は、昨日、熊本ホテルキャッスルのダインニングキッチン九曜杏のランチタイムにサーブされたサラダである。  お安いランチをオーダーしたにも関わらず、こんなに丁寧に可愛らしく盛り付けされると、食べるのが勿体無いほどである。  サラダは、ほとんどオリーブオイルと岩塩少々のみで食すが、この場合は、生ハムがあったので、オリーブオイルだけで完食。  厨房側の配慮に、感謝するばかり。

大阿蘇鶏モモ肉のハーブパン粉焼き サラダ仕立て+カキフライ(サービス)

 本来ならば、カキフライは含まれていない。  この大阿蘇鶏は、とても柔らかくジューシーで、全く癖がない、上質の鶏肉である。パン粉のサクサク感がたまらず、口の中で弾ける。  正直なところ、たった今オフィスに帰ってきて、お腹が空いている中で、この写真を見るのは酷な話。さっさと、アップして終了する。

脇宮盛久の世界(1)・・・『先付』伊勢海老どんぶりジュレかけ

 会席料理『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』の最初にサーブされた『先付』。独特な器の上で伊勢海老が主人公として、金箔が添えられている。  今宵のディナーは、脇宮流の『宝石箱』が飛び出してきそうな予感。  お味の程は、伊勢海老の香ばしさと甘みが口の中に広がり、一口で食すのが勿体無いほどのものである。 ※脇宮盛久料理長:黄綬褒章及び現代の名工受章者

『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』に舌鼓。・・・PDFファイルにしてみた!

 数十年ぶりの旧友との再会記念に、記事をPDFファイルにしてみた。ざっと遣ってみたが、まあ、紙媒体にすれば読み易いかも知れない。  旧友本人やその他関係者には、是非、ダウンロードをお勧めしたい! ▼PDFファイルダウンロードは以下のURLから、どうぞ! ※約10MB https://www.dandl.co.jp/club/saikai20221021.pdf

温かい『粥』が腑に染み渡る・・・『鱶鰭東寺粥』

 昨夜、旧友と数十年ぶりの『再会の宴』を楽しませて頂いたが、最後の〆として『粥』が振る舞われた。  『鱶鰭東寺粥』(桜海老、おこげ、軸三つ葉)に香の物が付いている。熱々の『粥』に、トッピングされた桜海老の上に、優しくとろみにのあるフカヒレを注ぎ込む。実にシンプルだが、とても複雑な味の融合を楽しめる逸品であった。  幼い頃は、風邪気味で体調悪ければ、すぐに『粥』を作ってもらい、体の芯まで温まり、バスタオルを首にぐるぐる巻きにして、ぐっと我慢の子であった。しかし、このようなお

『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』に舌鼓。

 数十年ぶりの旧友(山本順司医師/東京大学医学部卒)との再会。その宴を飾ったのは、『豊穣の秋たけなわ 再会の宴』(脇宮盛久料理長作/熊本ホテルキャッスル 個室 細川)。  学生時代と変わらぬ、互いのトークスタイル。旧友は開口一番、「よく二人で話していたよね。僕は受け身で10聴いて、1話す感じだった。」と。  筆者としては、そんなにお喋りの自覚はないが、彼にとってはそうだったようだ。数十年ぶりの会話は、数十年前と同じペースで、色んな思い出が湧き出してくる。  彼は、防衛医

時には、『鰻の白焼き』も乙なもの。・・・さっぱり、どっさり、びっくり。

 これだけの上物はないと言っても良いほど、『鰻の白焼き』。明治10年創業という、鰻専門の老舗中の老舗『水前寺東濱屋』の鰻料理である。  これは、確か鹿児島産の鰻を二匹捌き、頭と尻尾を外して、中央の旨いところだけを合わせて、一人前にしてサーブされたもの。  外側はカリカリ、中はフンワリ。ポン酢とワサビで、口の中はお祭り騒ぎ。ご覧のように、肝吸いの肝もでっかいものが入っている。  熊本に足を運ばれたらば、この『水前寺東濱屋』の極上鰻料理をお試しあれ!!!

遣ってみたいな、和洋中の『三麺三昧』。

 最近、麺が食べたくて食べたくて、堪らない。それも、日替わりで、和洋中の『三麺三昧』。和食であれば、素麺やうどんも考えられ、洋食であれば多種多様なパスタ麺もある。中華であれば、パリパリ焼きそばも五目そばも何でもありあり。  写真は、熊本ホテルキャッスルのダイニングキッチン九曜杏(くようあん)や四川料理 桃花源(とうかげん)で過去に食した麺々。どれだけ食したかは、全ての写真を掲載すれば分かるが、キリがないのでランダムに抜粋。  麺は、上述のように和洋中色々あるけれども、甲乙

中華料理 八仙閣・・・気の毒なほどに、リーズナブルな人気店。

▼過去記事より引用  博多の中国料理で名門中の名門と言えば、『八仙閣本店』。月間1万人を超えるお客が食を楽しみ、全国各地に多くのファンを持つ老舗である。  本日は、ホテルオークラ福岡 広東料理 桃花林の料理長より紹介を受け、取材することになった。サーブされた料理は、以下の通り。ゴージャスな料理の数々が、目の前のテーブルに並べられた。  涼しげな『じゅんさい』を使った料理。酸味の効いたタレに浮いた『じゅんさい』の食感は、シャキシャキ&トゥルントゥルンと食欲をそそられる。

山鹿豊前街道絵巻(四)・・・有働自轉車

 90年の歴史と伝統を受け継ぐ、父と息子。父親はご高齢だが、腕の筋肉や浮き出した血管を見ると、流石に職人の腕をしている。  黙々とタイヤや自転車全体のバランスなどをチェックしては、パンク修理や各所の調整を行う職人。  とても地道な作業であるけれども、AIロボットでも簡単にできる作業ではない。リム一本一本のズレや歪みの微調整も、この職人のセンサーには敵わない。  熊本県山鹿市の豊前街道沿いにある、老舗『有働自轉車』。この通りは、観光客がそぞろ歩きする、観光メインストリート

山鹿豊前街道絵巻(参)・・・有働自轉車

 有働家の裏庭での餅つきが終わり、さてさて、餡餅を作ることに。既に、胡桃より少々小さめに、小豆の餡玉が可愛く丸められていく。餅つきは、男性陣の担当。そして、餅を丸めるのは、女性陣の担当。きな粉も準備万端である。そして、勝手ながら、試食は筆者が担当することになっている。  餅が、親指と人差し指で作った輪っかから、ニュルンとてるてる坊主のように飛び出してくる。流石に、母の手つきは熟練した匠の技。何度やっても、同じ量の餅が飛び出してくる。きっと、火傷しそうに熱々なのだろうと。