ゆきちか

ゆきちか日々の書簡 08 * マイノリティ

コンポーザー二人の毎日のやり取りを切り取ったもの。きほん何気ない話です。今回はさいきん始めた「オンナ作曲家の部屋サロン(パイロット版)」と計画中の「がいじんカフェ」を中心に。
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わたなべゆきこ
作曲家、四歳児の母。今年の秋はモントリオールとケルンをぐるぐる。

森下周子
作曲家、ベルリン(本宅)と横浜(別宅)と金沢(実家)をぐるぐる。秋はヨーロッパ内をひたすらぐるぐるの日々。
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森下:「オンナ作曲家の部屋サロン(パイロット版)」勢いで開設してみたけどどう?

わたなべ:ひとつ思ったのは、グループで囲うっていうことは「マジョリティ(多数者)」を作るっていうことで、それによって「マイノリティ(少数者)」を生むことなのだなと。

森下:うん、グループを作るってことは、境界線を設けて「こっちから左は仲間」「こっちから右は仲間じゃないです」ってやるってことだよね。やっと分かった。

わたなべ:逆のことをやろうとしてるのに、不思議なんだけど、そう。

森下:まあ、まず、名前が「オンナ作曲家の部屋」だもんね、そりゃあ男性入りにくいよね。えーーこれ名前変えようよ!ノリで何となく決めたマガジンの名前がそのまま...(笑)「中堅女性作曲家サミット・サロン」でよくない?

わたなべ:それは皆で相談して意見聞かなきゃ…。でもさ、どこかのコミュニティ、特に普段の自分とは違うところにえいやって入ってみることで見えてくる視点があるよね。私時々やるの。何か問題が起きたときに、別の誰かの視点で見てみるっていうの。

森下:???男性がこれに入ると新たに見えるものがあるよ、ってこと?

わたなべ:それもあるけど...。自分にとって身近過ぎる問題、たとえばそうだなあ、うちは私が日本人で夫は韓国出身じゃない?そこで日韓の問題を、自分たちに関係のない架空の2カ国の問題として外から見るの。そうすると問題の本質がわかるというか。

森下:うーん、、、ごめん、よく分からないわ、、、。それ、やりたいって言ってた「がいじんカフェ」と関係ある?

わたなべ:そうそう、日本に住むガイジン作曲家を集めて、声を聞きたいなって思ったのね。この「ガイジン」って、すごいインパクトある言葉だけど、大枠としては外側の人っていうことね。まず何が内側で、何が外側かっていうとなんだろうと思うんだけど、そういうことに目を向けることから始めようかなって。

森下:自分がガイジンかどうかってそんなに気になる?ああそういえば、こないださ、「わたしどこ行っても(国に関わらず)部外者のようなものだしな〜」ってぼそっとアカデミーのときに言ったら、「わ〜ちかちゃんそれっぽ〜い!」って稲森くんに言われた!

わたなべ:そんな...(苦笑)

森下:このオンナ・サロンも、賛同者としてサインアップしたEGSAでも、女性のしかも日本人の研究者やアーティストと協働できるって単純におもしろいんだよ。今まで機会なかったし。でも。。。あ〜これ長くなるな...

わたなべ:なに?

森下:こないだの「中堅女性作曲家サミットvol.2」のときに昔お世話になったアート・ディレクターの方がこんなこと仰られてたの。

客観的な視点を持ちにくい女性(アーティスト)が意外と多くって、それだと(芸術祭などで出品作家の男女比が50:50に均されてから)一発目はいいんだけど、継続していくときの力っていうのは弱まるのかなっていうのもあり...。
※かっこ内は筆者による補足

ああ現場の実感てこんな感じなんだなって。わたし自身、女性より男性のアーティストや研究者にシンパシー感じることも確かに多いし。結論、うん、まあ最終的に身体的性別とかそのほかの条件的なものより、もっと大切なこといっぱいあるでしょ?っていう。

だってサロンだって男性か女性かっていうのも絶対条件ではまったくなくて、それよりも「同じ目線で話し合いができる人」、っていうことが一番大切なわけでしょ?そしたら「ガイジン」かどうかって、語学とか現実的な部分以外は特に気にならない。

わたなべ:そうそう、まず「ガイジン」に何を感じるか、だよね。外の一人っていうのを差別的に感じるのか、認めるのかっていうスタンスから話すとか。私はドイツでも日本でも、じぶんはどこかガイジンだと思ってるんだよね、外側の人。そしてさっきの話に戻って、違うコミュニティに入ってみることで見えてくる視点があるよね、っていう。

森下:なるほどねえ。「オンナ作曲家の部屋」で似たような人たちと集まって、そこからの「がいじんカフェ」っていう。

わたなべ:外から中を見る、っていうことをしてみたいんだ。

【これまでの「ゆきちか日々の書簡」】
01 * チルテレ
02 * カイロの音楽祭
03 * 日本エキス
04 *「個人的」なもの
05 * ゆきこの屈辱
06 * マルチタスク
07 * ゾンビとドール
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Chikako Morishita、作曲家です。ちかこと読みます。https://chikakomorishita.com/

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同時代に生きる音楽家のインタビュー、エッセイなどを月刊でお届けします。紙媒体のマガジンを目指して、記事ストック中です。 【音ポスト】 【ゆきちか日々の書簡 (不定期)】 【今日のこぼれ話(不定期)】 【音楽家インタビュー (月刊)】 vol. 1 渡邉理恵(打楽器奏者) vol. 2 北嶋愛季(チェリスト) vol. 3 坂田直樹(作曲家) vol. 4 山根明季子(作曲家) vol. 5 森紀明(サックス奏者、作曲家) vol. 6 宗像礼(作曲家、指揮者) vol. 7 稲森安太己(作曲家) vol. 8 パク・ウンギョン(作曲家) vol. 9 馬場武蔵(指揮者) vol. 10 八坂公洋(ピアニスト) vol. 11 村上淳一郎(ヴィオラ奏者) vol. 12 大瀧拓哉(ピアニスト)

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