人間関係で悩む人へ(その3)

人間関係の悩みは誰でもかかえる永遠の問題です。数回にわたり、その悩みについて一緒に考えていきたいと思います。

人間関係づくりの技術を考える際に、「4つの関係づくりの力」があることをお伝えしました。

1「繋がる力」

2「断る力」

3「許す力」

4「尊重する力」

今回は、2「断る力」について説明します。

断る力は、言い換えると、人と適切な距離を保つために「No」と言う力を表しています。

「No」と言う力を選択肢として持つことができない場合、
うつ状態・パニック・恨みを持ったり、犠牲者思考、過度に周りを非難してしまう、拒まれることを恐れる、過度に責任を感じるといった問題が生じます。

また、

「私がみんなの責任をとらなければならない」
「自分のことはとりあえず二の次」
「Noと断ったら私の評価が下がるのではないか」
「断ると嫌われてしまうのではないか」
「私が全員の責任を取らないといけない」

というような思考(考え)も出てきやすいでしょう。

2-3歳くらいの子どもがイヤイヤ期といって反抗するのは、「No」という意思表示を行い絶対的に依存していた状態(生まれてから間もない時期)から、自分と他人が別個の存在であることを認識し、母親と心理的かつ物理的な距離を取るためと言われています。母親と自分が別個であることを認識する事=自我が芽生え、自律的な行動が増えます。


この「断る力」が正しく育まれないと自他境界線(自分と他人が別の存在であることを理解するための輪郭のようなもの)が引けなくなります。つまり他者との境目が分からなくなります。
すると、前述したとおりの問題が生じます。

もしかすると「No」と言えない人は、小さいころに「嫌だ!!」と強く主張したことで、親を困らせてしまったり、怒られてしまったのかもしれません。「No」ということを他者に受容してもらえなかったのかもしれません。

「断る力」は自分と他者を別個の存在であることを認め、同時に自分を大切にするために極めて重要な力です。

断ることが苦手な方は、まずは信頼できる人との関係性において、小さな「No」を積み重ねてみてください。

専門家との間で実行するのも安全と思われます。

「断ること」で本当に信頼を失いましたか。嫌われてしまいましたか。評価が下がってしまいましたか。

やってみたことを振り返ってみてください。


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