君だけがいない世界
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目覚ましが鳴る。
冷水で顔を洗う。
スーツを着る。
髪をセットする。
珈琲を飲む。
猫に餌をやる。
いつも通りの憂鬱な朝だ。
その中に君だけがいない。
ある日、世界から君だけが消えた。
目覚ましが鳴る。
冷水で顔を洗う。
スーツを着る。
髪をセットする。
珈琲を飲む。
猫に餌をやる。
いつも通りの憂鬱な朝だ。
君がいないから余計に
そう思うのかもしれない。
もういない君の姿を、
僕は今も探している。
目覚ましが鳴る。
冷水で顔を洗う。
スーツを着る。
髪をセットする。
珈琲を飲む。
猫に餌をやる。
いつも通りの憂鬱な朝だ。
君と二人で見た海に沈む夕日。
あの日見惚れた君の横顔を、
僕はもう思い出せない。
目覚ましが鳴る。
冷水で顔を洗う。
スーツを着る。
髪をセットする。
珈琲を飲む。
猫に餌をやる。
いつも通りの憂鬱な朝だ。
君と二人で飲んだ朝の珈琲。
今日も頑張ろうと笑いあった日々が
消えていく。
目覚ましが鳴る。
冷水で顔を洗う。
スーツを着る。
髪をセットする。
猫に餌をやる。
いつも通りの憂鬱な朝だ。
君によく似合っていた名前。
愛しかったはずの言葉は、
今はもう口にすることすらできない。
目覚ましが鳴る。
冷水で顔を洗う。
スーツを着る。
髪をセットする。
猫に餌をやる。
いつも通りの憂鬱な朝だ。
忘れたくないはずの君は、
もうその声しか残っていない。
僕の名前を呼ぶ君の声を浮かべると、あたたかいのに少し哀しくなった。
目覚ましが鳴る。
冷水で顔を洗う。
スーツを着る。
髪をセットする。
猫に餌をやる。
いつも通りの憂鬱な朝だ。
僕にはいつか、とても愛した人が
いたような気がする。
本当にいるかもわからない「君」に、僕はそっと思いを馳せた。
目覚ましが鳴る。
冷水で顔を洗う。
スーツを着る。
髪をセットする。
猫に餌をやる。
いつも通りの憂鬱な朝だ。
さあ、今日も仕事へ行こう。