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つま先からじわじわと。

雨の日。
幼少期はそれが大嫌いだった。
外で遊べなくなるし、どこへ行くのにも一気にかったるくなる。毎週行ってた大好きなダンスレッスンでさえ、サボりたい欲求が腹の底からやってくるあの感じ。

何より靴がだんだん濡れてきて、つま先からじわじわと、びっちょりしていく、今この瞬間でも鮮明に思い出せるあの感じはいつだって嫌だ。
完全に濡れて、ぐっちょぐちょになって、濡れ切ったらそれはそれで楽しくなってくるのもなんだか記憶の隅っこに見え隠れはする。


一方で、なのか、だから、なのか。
いつか「雨もいいもんだ」と感じられる日が来ること、それはつまり、大人になったことに少し鼻高くいられる日が来ることに憧れを感じていた。

だけど20代になり、それは一向に向こうから訪れることもなく、雨の日に感情がかき乱される日々が続いている。

とはいえ、「天気如きで気分を乱されてたまるか!」と、自分から「雨」に対する考えを少しでもポジティブに、いいように捉えられるよう努力していくのが、私が私を少し、愛せるところである。

お気に入りの長靴やカッパを買ってみたり、傘に絵の具を塗ってカラフルにしてみたり。

こうして、雨の日の私へのご機嫌取り大作戦が突如始まり、突如功をなした。

とはいえ、梅雨である今。
起きた瞬間に、ぱっきりすっきり青い空から光が差し込む日と、遠くのほうから水の滴る窓を見る日とを比べると、やっぱり前者のほうが気分が上がるのはみんなそうなのだろうか。

家や車にいると、「守られている感じがして好き」や「雨の音が好き」なんて感じる声もちらほら聞く。

そんな、雨の日を心から愛せる人はそもそもいるのか。そして、私もそう思える日がいつか来るのだろうか。

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