見出し画像

訪問看護ステーションの裏方で活躍する事務職の全貌

はじめに

「訪問看護ステーション」と聞くと、看護師さんが自宅で療養している患者さんを訪問してケアをするイメージでしょうか。

訪問看護ステーションは、自宅での療養を必要とする方々にとって、安心して生活を送るための大切な存在です。

私が働いている訪問看護ステーションには、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、合計15名の医療スタッフがいます。

同じ法人が運営する別のステーションもあり、地域によってスタッフの構成は少し異なりますが、規模は同じくらいです。

こうした医療スタッフが、利用者さんの自宅を訪問し、専門的なケアを提供することで、利用者さんは住み慣れた場所で安心して療養生活を送ることができます。

一方で、看護師やリハビリスタッフの活躍の裏では、彼らを支える「事務職」が重要な役割を担っています。

事務スタッフは、保険請求や利用者対応、スタッフのサポートなど、多岐にわたる業務をこなし、ステーション全体の運営を支える「縁の下の力持ち」です。

私の事業所には、医療事務と総務・人事担当の事務スタッフが1名ずついます。もう一つの事業所には、医療事務が2名いる体制です。

この記事では、訪問看護ステーションで働く事務職の仕事内容や、そのやりがいや大変なところについて詳しくご紹介します。

訪問看護ステーションの事務職に興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

訪問看護ステーションの概要

訪問看護ステーションとは、病気や障害のある方が住み慣れた自宅や地域で療養生活を送れるよう、主治医の指示を受けて看護師などが定期的・短期的に訪問し、医療的ケアやリハビリテーションなどのサービスを提供します。

病院での治療を終えて自宅に戻った方、高齢で通院が難しい方、障がいのある方など、様々な方が利用しています。

具体的には、

  • 病状の観察や健康管理

  • 服薬管理

  • 入浴介助、清拭

  • 医師の指示に基づく医療処置(点滴、注射、傷の処置など)

  • カテーテルなどの管理

  • リハビリテーション(歩行訓練、食事やトイレの練習など)

  • 終末期ケア

  • 認知症・精神疾患/医療的ケア児/重度心身障害児の看護

  • ご家族への介護指導や相談

などのサービスを提供しています。

訪問看護ステーションは保険医療機関ではありませんが、各種保険や公費が適用されます。利用には年齢制限はなく、乳幼児から高齢者まで幅広い方が利用可能です。

利用者さんが住み慣れた自宅で安心して療養生活を送れるよう、専門的な知識と技術を持ったスタッフが、お一人お一人の状況に合わせて計画を立て、きめ細やかなケアを提供しています。

事務職の多岐にわたる役割

訪問看護ステーションにおける事務職の役割は、一言で表すと「ステーション全体の円滑な運営を支える」ことです。

医療スタッフが安心して利用者さんのケアに集中できるよう、事務職は様々な業務を担っています。

具体的に私の業務を紹介します。

  • 保険請求、利用者請求、付随する各種書類管理

  • 電話応対、緊急コール対応

  • 人事労務(給与計算、年末調整、採用アシスタント、入退職管理)

  • 経理(売掛金精査、小口現金出納管理、立替精算)

  • データ分析(売上集計、個人別売上集計、毎月の利用者の動向件数など)

  • 物品・施設管理(物品管理、車両、駐車場管理、事故対応)

  • 営業サポート

ステーションの運営に欠かせない事務処理はもちろんのこと、利用者さんやケアマネジャー、病院やクリニックとの連携など外部との窓口としての役割も担っています。

また、医療スタッフが直行直帰することが多いため、スタッフ間の直接のコミュニケーションがどうしても病院勤務と比べると少なくなってしまいます。

そのため、事務所に帰社した際の事務スタッフとのやりとりが、スタッフにとって貴重な情報共有や相談の機会になります。

私は、スタッフとのコミュニケーションも、スタッフの精神的なサポートや、チーム全体の雰囲気作りにもつながる、重要な業務の一環だと思っています。

業務のやりがいとチャレンジ

このように、事務職の業務は多岐にわたり、大変だと思う場面もありますが、その分、大きな達成感を感じることができます。

例えば、以下のような時です。

  • 利用者さんの役に立っている実感
    私のいるステーションでは、夜間は看護師が待機して緊急事態に対応しますが、日中は事務スタッフが緊急コールを受けます。
    緊急コールが入ると、まず利用者さんの状態を把握し、どのスタッフが近くにいて、誰が一番早く駆けつけられるかを判断します。スタッフの訪問状況や地理的な条件を考慮して、その後の訪問するスタッフを変更したり、訪問予定の利用者さんに遅れる連絡を入れたりすることもあります。
    一刻を争う状況で、直接的なケアはできませんが、迅速な判断と対応でスタッフをサポートし、利用者さんの安心につながることに、大きなやりがいを感じます。

  • スタッフからの感謝
    医療スタッフがスムーズに業務を行えるようサポートすることで、「ありがとう」と感謝の言葉をいただいたり、信頼関係を築くことがやりがいに繋がります。

  • ステーションの成長への貢献
    データ分析や営業サポートを通して、ステーションの成長を支えている実感を得ることができます。
    例えば、スタッフが営業活動しやすいように営業ツールを作成したり、Googleマイマップを活用して、スタッフ同士が同じタイミングで同じ場所に営業に行かないように調整したりしています。
    これらの取り組みを通して、ステーションの成長に貢献していることを実感できます。

  • 自分自身の成長
    マルチタスク業務を通して、様々なスキルを習得し、自分自身の成長を実感することができます。

事務職は、決して目立つ仕事ではありませんが、ステーション全体の運営を支え、利用者さんや医療スタッフの笑顔を守る、という大きなやりがいを感じることができる仕事です。

事務職の存在は、訪問看護ステーションが質の高いサービスを提供し続けるために欠かせない存在だと思っています。

次回予告

次回は、訪問看護ステーションの事務職の中でも特に重要な業務の一つである「保険請求と利用者請求」について、請求ミスを防ぐためにどのような工夫をしているのか、実際の業務例を交えて詳しく解説します。

具体的には、

  • 訪問看護における保険請求の種類と流れ

  • 請求業務で特に注意すべきポイント

  • 請求業務を効率化するための工夫

  • 利用者請求とは?具体的な業務内容を紹介

  • 請求業務を通して感じるやりがいや難しさ

などについて掘り下げていきます。

訪問看護ステーションの事務職に興味がある方や、具体的な業務内容を知りたい方は、次回の記事もぜひお見逃しなく。

この記事が、訪問看護ステーションの事務職に興味を持つ方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?