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【27】何度でも生まれ変わろう

リボーン洞戸を発つ前の晩、浣腸をしてもらった。
がん細胞に占拠されている直腸の間を通過できる勇者ウンチは限られているらしく、どうにも詰まって家に帰る長道中が心配になりお願いしたのだ。がん細胞が大腸を塞いで細い道になっているのをアップルコア(林檎の芯)というらしいけど、私の直腸の隙間は5ミリほど。

浣腸は恐ろしいほどの威力で効いた。たいがい詰まっていたからかお腹の鈍痛と共にユルいのがひっきりなしにお出まし。鮮血がトイレの陶器に派手に紅白のコントラストを描く。ベッドとトイレを行き来してほとんど眠れず早朝に延泊希望を申し出る。

その日は船戸院長の診察日であった為に止血剤の点滴を受けられ、部屋にそのまま延泊できることになり安心して少し眠れた。

そのおかげで、すれ違うこともできなかったはずの人に逢えた。

滞在中1週間の間に水素吸引や還元電子治療、高濃度ビタミンC点滴、マイルド加温を受けられた。本棚の本を自由に読み、セラピーやワークで自分を深く知り、洞戸の地を散歩したり、外のデッキや館内のあちこちでライアーを奏で、必要な方にライアーを体感してもらった。お風呂のついでに洗濯機を借りて部屋で乾かした。キッチンで食養生の愛を教わり、リボーン滞在の先輩方にもいろんなことを聞けた。

自分も出発する日だった朝、Mちゃんを見送る。

私は、リボーン洞戸にたどり着けて幸運だった。

どんなに明るくいようと立ち位置を決めていても、あっさりネガティブ側に彷徨う。自分の命の灯を意識したら怖くもなるし、夢見がち系ポジティブと言われる私でも気持ちを保つのには凄くエネルギーが必要。ストンと落ちるのなんか本当に簡単で、闇に引っ張りたい存在は虎視眈々とネガティブ仲間を募っている。私は、どんなに引っ張られても断ち切って光を向く。

私はどこかに忘れてた本来の私のヒントを、ここで見つけた。

共に時を過ごしたのは
私と同じく告知で不安を抱えた人、宣告された人、病院で心が折れかけた人、家族にリボーン洞戸を勧められた人、自分と向き合いリボーン里帰りしている人

みんな「がん」をきっかけに行動を起こした人たち。

この場所に、私はまた戻ってくる。
いつかここで恩返しができるような私になる。
もともとの私に何度でも生まれ変わろう。

出発の朝、手を振った。決意表明は一言でいい。

「いってきまぁす!」



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