コペンハーゲンとサンフランシスコ
2024年9月デンマーク(コペンハーゲン、ロラン)に滞在したのだが、遡ることちょうど一年前の2023年9月は、サンフランシスコで行われる仕事関連の大きなカンファレンスに参加していた。
そんなわけで、コペンハーゲンとデンマークの対比を鮮明に感じたところはあると思う。あくまで個人の印象ということを断っておきたい。
その上で、今回コペンハーゲンではよく目にし、サンフランシスコではほとんど目にすることがなかったものについて。
それは「笑顔」だ。
コペンハーゲンでは、ホテルにチェックインする時、カフェでオーダーする時、向こうから必ず笑顔をむけてくれる。
もちろん、子どものような無邪気な笑顔というわけではなく、お互い気持ちよくやり取りするための大人笑顔と言ってもよいかもしれない。
それに釣られてこちらも自然と笑顔になる。
一方、サンフランシスコでは、イベントのスタッフ、チョコレート店の店員など、みな無表情かイライラしているように見えた。
会場入口のスタッフは人々に終始怒鳴って命令しており、自分が囚人になったような気分になった。(空港で同じような体験をした人も多いだろう)
話は逸れるが、さらに遡ること13年前の2011年にも同じカンファレンスでサンフランシスコを訪れていた。
当時のサンフランシスコは物価も高くなく、当然円はまだ強く、中心部にホテルを予約することができた。街中も比較的ゆったりとしており、美しい観光都市を充分感じることができた。ゴールデンゲートブリッジの袂ではセグウェイに乗って散策ツアーを楽しむ人々の長閑な光景が見れたのも懐かしい。
業界の人なら誰もが知ることになったこのイベントの規模は、この十数年間で何倍にもなった。一方、サンフランシスコの治安は悪化、ホームレスも増えているときくし、コロナの影響かビジネス街は閑散とし廃れ、空き店舗や閉まっているところも目立つ。
世界一美しい街の面影はどこへ…。(写真を遡って見てみたが街の写真が皆無だった。)
それに円安とインフレとイベントの影響でホテルの値段は爆上がり、まともなホテルには泊まれない。食事についても言わずもがなだ。夕方18時には大概の店は閉まるので不便。
話をもどそう。
街の人に笑顔があるかどうか、それは街の健全さ、ウェルビーイングを象徴しているのではないかと思った。
笑顔が出現する条件は次のようなものがあるだろう。心身ともに安全な環境にいると思えること、少なくとも相対する人は敵ではないと思えていること、仕事に誇りをもって楽しんでいること、安定した精神状態にあることなどだ。
一方、安心安全な環境がなく、周りは敵に見え、仕事はやりがいもなく、生活の不安などから精神状態も安定していない。そんな環境で人は笑顔など出せない。
そして、怒鳴って人をコントロールすることに疑問も抱かず、非効率なそのやり方を見直そうとは決してしないだろう。
コミュニケーションをスムーズに、お互い機嫌良くやろうよ、そのためにもまずは笑顔!
自分から笑顔を向けることができる人こそ大人ではないだろうか。
「笑顔あふれる社会へ」などインチキ政治家のマニフェストみたいで気持ち悪い。でも笑顔には、本人のマインドセットもだが、環境が大きく影響しているということを改めて実感した。
そして、自分の周りから笑顔を増やしていきたい、と当たり前のことに行き着いてしまった。
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