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落ち込まない力

この春からAPU(立命館アジア太平洋大学)の学長に完全復帰された出口さんの本を読んだ。出口さんは日本生命を退職された後に、60歳でライフネット生命を立ち上げ、70歳でAPUの学長に就任。しかし、1年半前に脳卒中で倒れ、ずっとリハビリを続けられていた。

この本は、その復帰後はじめての本だった。

私自身、30歳くらいの頃、たまたま縁あって出口さんを囲む勉強会に滑り込みで参加することができた。ちょうど出口さんがライフネット生命を立ち上げて2、3年が経過した頃で、社長をされていた時代のことだ。

勉強会は、主に歴史を通してリーダーシップを学ぶという内容だったけれど、仕事や人生を生きていく上での、必須元素みたいなものを吸収し、ずいぶんと足腰が鍛えられた。そして、生きていくことがとても楽になった感覚を今でも覚えている。

この本で一番印象に残っているのは、出口さんが圧倒的に落ち込まないということだ。

この部分を読んだ時、やっぱり出口さんだ!と思った。

私自身、これまでも出口さんの本を読んで、いろんな言葉を思い出し、前に進んできたけれど、一貫したメッセージは、人生は思い通りにはならない、その上でどう生きるか、つまりどう適応していくかということだった。

どちらか選択肢で迷った時は、「人生はトレードオフ、いいとこどりはできない。」という言葉を思い出し、決断までの時間が圧倒的に短くなった。

「人間にできるのは、川に流されてたどり着いた場所で、自分のベストを尽くすだけ」という言葉を意識することで、川の流れに身をまかせつつ、流れてきたチャンスには「今だ!」と勇気をもってトライできるようになった。

とはいえ、右半身が麻痺して今後動かないという事実を受け入れるには、相当な苦しさがあったと想像するのだけれど、いつも「人・本・旅」から学ぶことの大切を説いている出口さんは、学んできたことをひたすら愚直に実践しているだけなのだろう。

困難に直面した時、私たちはあれこれ感じて悩んでしまう。でも、出来事だけ見ればシンプルなことも多い。もし、プロとアマチュアの違いは何かと聞かれたら、落ち込みからの回復力と答えると思う。もしくは、落ち込んでも、普段と変わらないパフォーマンスをいかに出せるかだと思う。

落ち込んでもいい。でも、落ち込むだけ落ち込んだら、また1歩踏み出せばいいんだよと、元気をもらえる1冊でした。

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