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消費する関係性と生産する関係性

今お世話になっている会社の代表Kさんは、人の力を借りるのがめちゃめちゃうまい。その人が得意そうなこと、興味のありそうなことを観察して、お願い事をしている。言い換えると、人の可能性や能力を活かすのがうまいとも言えるし、関わり合いのきっかけを作るのがうまいとも言える。

大工仕事が得意な人、料理が得意な人、チェーンソーを使える人、草刈機を持っている人、子どもと遊ぶのが得意な人、土地を活用しきれていない人。地域にはいろんな人がいる。Kさんは、その人に合った活躍の場を作るのがとてもうまいのだ。そして印象的なのは、関わっている人の嬉しそうな、充実した笑顔だ。

お金を稼ぐ人も必要だけれど、田舎では、こうした「誰かの力を活かせる人」の存在がとても大切な役割を担っていると感じている。あなたにはこんな力があるよ、だから手伝ってくれない?と、関わりしろや活躍の場面を作ると、自分の力を肯定される方は嬉しいし、お互いの可能性を活かしあえる。

頑張れば自分たちだけでもできるけれど、あえてそうはせず、人を巻き込んでいくと、単独では出来なかったことやよりいいものが出来たりするし、新たな課題にも取り組めるかもしれない。そして何より、自分たち自身も疲弊せずにすみ、活動を続けていくことができるのだ。

誰かをコマとして見ている人も少なからずいるけれど、そうした「利用してやろうという姿勢」は、いつかバレる。そして人が離れていき、二度と近づこうとしないだろう。地域の中で信頼される人は、お願い上手だ。

気持ちよくお願いごとをしたり、頼まれごとをされる関係性って、お金を払っても手に入るとは限らない。でもこうした関係性こそが暮らしを豊かにしてくれる。

”贅沢”という単語は”豊かさ”という意味のラテン語から来ている。私たちは上質のワインや高級車、ファーストクラスの旅行といった物質的な意味合いででその言葉を考えろと教わってきたが、親しい関係や、意義深い仕事、大義への奉仕、こらえきれないほどの笑い、ひとりの静かな時間といった豊かさを持つこともできるのだ。この種の贅沢を売っている店はないし、宝くじに当たっても手に入れることはできない。しかしこれらは結局のところ、私たちにとってもっとも重要な、隠された富なのだ。
「生活の発見」より

お互いを消費する関係性ではなく、お互いの力で、何かを作り出せるような生産的な関係性の中に身を置きたいなあと、改めて思ったのでした。



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