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金閣寺 三島由紀夫

現象の否定とイデアの肯定。
身近な題材に転換すると、
自分の生活に実際起きていることの否定。
自分の考えるところの肯定。
人はその違和感の中に生きている。イデアとはつまり自分の意識そのものに近いからだ。
主人公の現象とイデアの交錯場面において、頻繁に金閣はその荘厳な美しさで輝く。
やがて、自らの手で火を放つ主人公は、金閣の拒否⇨現象の否定と、イデアの肯定⇨生きたいという願いは表裏一体のものであることを知る。
私たちの話に戻そう。憧れ、嫉妬、恨み、憎しみは不快な感情を我々に感じさせ、ストレスとなる。半ばそれを無視し今この瞬間に行き、命に触れ、精神を解放することができれば、どん詰まりは解消される。現象の把握も観念の自覚も、生じている原点は我々の意識である。自分を楽な気持ちにしてくれるものを見、味わい、想像すればよい。自分の見た知った世界は、この広い世界の一部である。私は、そんなことを読後に感じた作品である。

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