単純すぎて教えられない引き算。
あなたは引き算を教えることができるか。
例えば、
2341-1897=
という問題があったとしよう。
それを学校では筆算と呼んで縦に積み重ねて、上の段から下の段の数を引くというふうに教えている。
みんなもよく知っているやつである。
まず一の位で引けなければ十の位から10借りてきて引く。それを順繰りに桁をあげていけば引き算が無事にできるという算段だ。
で、これでわかれば苦労しない。
問題は、この10を借りてくるということがどうしても理解できないことである。
それならばいっそのこと10を借りずに40引く7でもいいんだよと言ってみる。
そこでなんとかかんとか33という答えをひねり出せたとしよう。でもここで行き詰まってしまうのだ。
それじゃあ一の位に入る数字は何かなと聞いてみると3と答えてしまう。あれ、1はどこへいったのと聞くと首をかしげている。
ならばいっそのこと41引く7でもいいんだよと言ってみる。もうこの時点でぼくもダメだなと諦めて言っている。41引く7がすんなり出るようならこんな苦労はしないからだ。
やっぱり最初の10借りてくるというやり方が一番単純でわかりやすいように思えてきた。
もちろん切りの良い近似値(1897なら1900とか)を与えてざっくり引いて後から細かい計算で辻褄を合わせるという方法もなくはないが、そもそも引き算とゼロの意味がわかっていないんじゃないかと疑っている。
理屈がだめなら体で覚えてもらうしかないと体育会系のノリでひたすらドリルをやらせるという手も考えた。数をこなしていくうちにあるときルールに気がつく可能性に期待するのだ。でもこの方法はうちの子には向かないだろうなと思う。
そもそも数をこなせない。一問目でひっかかって先へ進めない。仮に十問できても全部不正解、はいやり直し!という根性があるタイプではない。というよりも根性でやるのはたぶん間違っているとぼくは思っている。
そういうわけで今ぼくはとても困っている。
今まで引き算ができないなんて考えたことがなかったから、わからないという感覚がわからないのだ。
この先掛け算だの割り算だの分数だの少数だのインスウブンカイだのついにはホーテー式が登場するのだ。四則演算で戸惑っているバヤイではないのだ。
でもぼくは考える。むしろ因数分解や方程式を教えるほうが易しいのではないかと。四則演算ほど簡単でわかりきったものだからこそ、わからないひとに教えるのが難しいのではないかと。
引き算は我が子にとって大きな悩みの種となっているが、それは同時にぼくの悩みの種でもある。どうやっておしえたらAHA!が飛び出すのか。通り一遍の教え方しかできない自分にイライラする。
当たり前だが子どもは今ものすごーくやる気がない。まるで外国語を聞いているかのようにチンプンカンプンだからだ。苦痛で苦痛でしかたがないのだ。その気持ちは痛いほどわかる。ぼくも勉強ができない子だったからよくわかる。そしてその場から逃げようとする子の行動は自分を見ているようだ。
逃げてもよいことはないのだ。それはお父さんが一番よく知っている。がんばれ息子、諦めるな。続けていれば必ず理解の灯火がキミを照らそう。
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