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森を出て原っぱへ戻る季節

夏のあいだ森の中を徘徊していたぼくら親子は、秋になると原っぱへ戻る。
ぼくらにとって、冬と夏は森の季節で、春と秋は原っぱの季節なのだ。
 
原っぱは今、無事成虫を迎えたバッタが飛び回っている。それをねらってカマキリが潜んでいる。もうすぐ山を降りてアキアカネが大群でやってくる。蝉の声が次第に小さくなって静けさを増す森と反対に、原っぱは虫たちの合唱が響き渡り賑やかだ。
 

ちょっと珍しいオスのハラビロカマキリ


台風10号は通過しないで霧消してしまった。こんなこともあるもんだ。その代わりの置き土産か激しいスコールのような雨をもたらして、それがほんの15分ぐらいの時間だったけど、ぼくらをずぶ濡れにさせるには十分だった。
 
息子は喜んで豪雨を顔にうけてそのうち寒くなってきたと細い腕を震わせた。ぼくは慌ててカメラをしまってバックパックを胸に抱えると、ただただ浸水だけが心配だった。いたるところに海ができて、雲が切れて陽光が差し虹がでた。ぼくはカメラの無事を確認して、温かい日差しの中を二人で歩いて帰った。
 
まるで服ごとプールに入ったようになって、息子はとても幸せそうだった。

公園のコナラで樹液を吸うアカボシゴマダラ

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