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上辺ではわからない真実

冬の森は本当に静かだ。風がなければ音がしない。じっとしていると鳥たちがやってきておしゃべりして去っていく。

落葉樹の葉が大量に落ちてふかふかの地面を作り出す。樹木に巻き付いていた蔦類も巻き付いたまま枯れている。

死んでなお絡みつくのはまるで道成寺の龍に化けた女ではないか。ところであの話は振られた男を龍に化けて焼き殺した女が、殺した男とともに仏になって天上へと上がっていく理解し難いハッピーエンドになっている。

仏教の話にはそういうのがよくあって、鬼子母神も殺すだけ殺して神になったし、自身を供養するためにある人数の巻き添えが必要だとか、物語だけでは到底理解できない。しかしそれらも根底を知ればなるほどと納得がいったりするから、何事も上辺だけでなく真髄を知らねばならない。

巻き付いたまま枯れた蔦もまた子孫のための場所取りなのかもしれないと思った。森には多様な蔦が生えている。自立できない蔦類にとって、巻き付く木を確保することは生存において重要なことである。ならば子孫のためにこの体が枯れようとも場所を死守しようとDNAに刻まれているのだ。

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