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活けて、撮る。

一輪挿しがいい。

通常の花瓶と一輪挿しの違いはその口の広さにある。

一輪挿しは口が極端にせまくなっていて、文字通り一枝しか通らない。
花瓶に一輪さそうと思っても、その口の広さが災いして枝や茎がうまく固定できない。ところが一輪挿しならば口がその固定の役目を果たすのである。

この青い一輪挿しは口が非常に狭くて少しでも枝が太いと通過しないから、ものによっては削る必要がある。さらに言えば、口が狭すぎて水が入らない!というわけで枯れた枝ばかりを活けている。

枯れ枝単体でも表情があって面白いが、そこへ生物が入っていると動きが生まれる。
昆虫のサナギや繭や卵なんかは最高の材料である。今息子はカマキリの卵探しに夢中なので、森でみつけてはこうして一輪挿しに挿して楽しんでいる。


オオカマキリの卵鞘。

上の写真はオオカマキリの卵である。
5月頃には小さなカマキリがたくさん出てくるからその様子を息子に見せてやりたい。もちろん写真にも収めるつもりである。

ハラビロカマキリの卵鞘


これはハラビロカマキリの卵である。一輪挿しが同じでも枝ぶりやカラートーンが違うと写真の表情も別物になる。

この写真はモノトーンを意識して、だけどモノトーンじゃない写真になっている。冬の寒々しさを表現したいと思った。

ハラビロカマキリの卵鞘と葉


こちらもハラビロカマキリの卵である。カマキリはたいてい落葉樹に卵を生むことが多いので、葉付きは珍しい。
さらに自然に巻き付いていた蔦類がいいアクセントになっている。

この写真にはストロボを使っている。自然光で撮るかストロボ撮影するかは被写体次第で決めるが、この枝を見た時すぐにストロボ撮影が頭に浮かんだ。葉のグリーンがきれいにでたら素敵だろうなとおもったのである。そしてイメージ通りに撮れてうれしい。

すごい枯れ枝


これはカマキリの卵はない。森を散策していたらこの枝が落ちていたのである。そしてその姿にぼくは惹きつけられた。木々の隙間を抜けた陽光に照らされて枯れ葉がシルバーゴールドに輝いているではないか。こんなすごい枯れ葉見たことがない。

葉の形状は月桂樹のようであるが、種類は判然としない。
こいつにストロボで強い光を当てて、コントラストの高い写真をとったらさぞ格好良かろうと思った。

そしてこの写真はカラーでなければいけない。勢いモノクロームにしてしまいがちな佇まいをしているが、この葉はただのシルバーではなく、シルバーゴールドなのである。だからゴールド具合を写真に残したいのである。

ちなみにシルバーゴールドに輝いていた葉も数日経つとツヤのないただの枯れ葉になってしまった。枯れ葉にも旬があるようだ。

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