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鞄ひとつ

胸に抱え

ためらう


でも心は決めていた


花のような生き方も似合わなかった

だから何も

言葉にはしなかった


ひとりだよ

悲しくはないよ

だけどそっちにはもう行けないから

血迷ったふりして飛び出して来たんだ

ためらいひとつ拳に握って


偽りのない今を確かめられたから

やり直そうって思えたんだ

最後の最後、そのさらに終わり

そっと明日を選んだ


やさしい家には帰らない

あたたかな窓は振り返らない

ためらいだけを話し相手に

忘れないよ

今日のこと

忘れないで

いつの日だって

私は誰かの肩の先

私は何処かの土の上


鞄ひとつ

胸に抱え、それでも

飛べない空があることも

知っている


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お読みいただきありがとうございます。文芸思潮の現代詩賞に応募しました。今年はいっぱい投稿しようと思ってます。詩と思想も、金澤詩人賞も、頭が混乱しそう。


読んでいただき、ありがとうございます。 ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。 普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。