見出し画像

視界の上半分は空なので
ミサイルは頭の上を通過して
知らない場所へと飛んでいきました
キスは目しか見えません
鼻はぶつかるし、唇は相手の位置を探し回ります
総理大臣は手を洗おうとしてハンカチを忘れて来ました
ほとんどの芸能人は更衣室がわからないようなので、新人が道案内をする役目となります
床が滑りやすいから気をつけてください
そこ頭ぶつかりますから腰を屈めてください

上手な人しか生きられない動物園で
上手な人ばかりがよく喋り
上手じゃない人はいないことになってます
ターミナル駅には親切な人しかいません
親切な人はこれから悪いことをします
親切なまま人を傷付け
親切なまま逮捕され
親切なままニュースで報道されるのです
泣いている人なんて見たことないので
泣きたくなったら、泣く以外の方法を考えます
もしも泣いてしまったらフォロワー全員に通知が行きます
ピロロンという音がして、あ、今のは命中したみたいですね

幸せは自慢する他に使い道がありません
世界のほぼ全てが知らない愛で支配されてるというのに
実際の視界の半分以上はよく知ってる恋で満たされています
選び抜かれた思い出は消えないインクで出版されました
何度も読まれてるうちに、今ではすっかりフェイクニュースの素材です
生い立ちは誰かの140字小説を参考にしました
やべぇタグまでコピペしちゃったよ

挫いた足を引き摺って、私はこれから買い物に出かけます
娘は台風の日に生まれました
名前を「琴葉」と言います
ちなみに私が名付けました
その世界には文字と画像と動画しかありません
妻は今では三段腹です

・・・・・・・・・・・・

お読み頂きありがとうございます。ビーレビの今月のお題で書いたものです。お題は、何だっけ? 「ネットでリアル」だったかな?






読んでいただき、ありがとうございます。 ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。 普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。