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コンプレックスだと思ってたらそうじゃなかった夫の薄毛の話

夫は簡単にいうとハゲている。
20代から薄かったのは確かで、ゆくゆくどうなるのかと思っていたら、50歳を前にてっぺんは無くなった。

この髪の毛の件をネタに、時折2人の息子は冗談混じりにいじるのだが、夫の返しが毎回バラエティーに富んでいておもしろい。

「毛はない方が楽だぞ」
「そんなにオレの頭まぶしいか?」
「残念ながら俺のハゲの遺伝子、いつか暴れ出すで!」
「そのうちハゲが流行るで、いや俺が流行らせるわ」
「そしたらみんな俺に憧れるんとちゃう?」

コントのよう聞こえるセリフが飛び交う。

いつも息子からのいじりを笑いに変える夫を見ているが、私が内心気になっていることを6年生の息子に打ち明けた。
「お父さん、本当は髪の毛のこと気にしてるかもしれないから、あんまりその話ばかりするのも可哀想に思うときあるんだけど」
すると次男は
「お父さん気にしてないよ!僕はそれをわかってるから言えるんだよ、気にしてる人には絶対言えない」
どうやら息子なりに相手をわきまえているようだ。

それにしても、最近髪の薄い人を見かけない気がするのは気のせいか?夫も同じことを感じているようだ。
「みんな薬を飲んでいるのか?」
「俺はレアなタイプなのか?」
「もし薄毛治療薬のおかげでハゲ人口が減っているなら、俺は病気を治さない変わったやつって見られているのか?」
「ヘアセットも要らんし、シャンプーすらそのうち要らんくなりそうや、コスパ最高やで笑 あ、消費は減るなぁ、経済悪化の原因やろか笑」

夫に髪の毛の話をすると、結局笑いに持っていかれる。

私は聞きにくかったことがあった。
夫にとって髪の毛のことはコンプレックスなのか、そうではないのか?
夫と息子たちの会話を聞きながら、私はひっそり笑っていることもあれば、手を叩いて大笑いしてしまうこともあるが、それをどう思っているのか?
ある時聞いてみた。

すると、
「コンプレックスってなんや?悩んでももう生えてきーひんで笑 みんなが笑ってくれとるからええんとちゃう?」
息子が言う通り、悩んでいるとは少し違うようだ。
やはり笑いでしか返さない夫だった。

悩むかどうかは本人次第。
同じことでも悩む人と悩まない人がいて、その悩みの深さも違う。
他人から見て勝手に「悩んでいる人」扱いするのは、失礼にも値することだとハッとした。
これはいわゆるルッキズムなのか。
見た目で判断してしまっていたことに気付かされる出来事だった。

コンプレックスかどうかは本人が決める。
夫の言動で一つ学びを得た。

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