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笑顔でいってらっしゃい!が言えますように

あと2日で息子は一人暮らしを始めます。
本人にとって念願の下宿生活です。

一人暮らしがしたい

思えば高校1年生の頃、やりたいこともなく、将来を考えるのが苦痛そうでした。
冬の担任の先生との三者面談の時、志望校が書けなかった息子に、先生はいろんな切り口から質問をされました。

将来やりたいことは?
好きな教科は?
興味がある学部とかある?

息子から芳しい答えはありません。

大学生活は描ける?
サークルとかバイトとか、一人暮らししたいとかある?

うつむいていた息子の顔が上がりました。

『一人暮らししたい』

先生と目が合った私は、思わず笑ってしまいました。

息子の唯一の進路希望が「一人暮らしがしたい」というのは、後から振り返ると少し思うところもあります。
それでも将来が描けないというのを聞いて親としては複雑だったのは確かで、一つ意思が聞けたのが嬉しかった。
その場で先生から親の考えを聞かれ、

一人暮らし=仕送り

と浮かんだ私は、経済的なこともあるので国公立の大学であればと、とっさに一つ条件を付けました。
家ではそんなことは一言も聞いていなかったので、きっと私の驚きは先生も感じ取っていたことでしょう。
この日を境に、範囲を広げて大学を選びを進めました。

間も無く息子が志したのは県外の大学。
それを聞いてからは、高校卒業と同時に家を出ていく可能性があることをぼんやりと頭の片隅に置いていました。

親の役割

無事に志望校に受かり、下宿生活の準備が始まりました。
これからの生活について、夕食後のミニ家族会議でたくさん話し合いました。

実家を出るということは、全てゼロからのスタート。
家具も家電もないわけで、当初はあれもこれもとつい不便がないように完璧に揃えなければと考えていました。
しかし準備をしながら考え方が変わりました。
生活しながら実際に必要なものを自分で揃えていくのもいい経験になるのでは、と。
不便を感じるのも大事、どうすれば改善できるか自分自身で考えることを奪ってはいけない気がしました。
つい40年生きた経験値で失敗も回避させたくなりますが、そこはグッと堪えて。
回り道には意味がある!と、一歩引いたところから見守ることにしました。
心配は尽きませんが、一人暮らしをしたいという理由の一つに、私のおせっかいから逃げ出したいと思っていたりするのかな、とも考えたり。
そう思うと、おせっかいの手にブレーキがかかります。

巣立ちを淋しいものにしたくないから

準備がひと段落したところで、日常のふとした瞬間に心のざわざわを感じるようになりました。

兄弟で話している風景。
長男が好きな食べ物をスーパーのカゴに入れる私。
家族で麻雀をする時間。
朝起きられない長男を、家族が順番に声をかけにいく我が家の暗黙のルール。

これが日常ではなくなるんだなぁと、淋しく思う自分の気持ちに気付きました。

自分がこんな気持ちになるのは想像していませんでした。
一人暮らしは息子の努力の結果であり、親としても成長の証でもある巣立ちは嬉しいことなのですが。
淋しいのです。
今は準備に忙しく気が紛れているだけなのかもしれない。
送り出したあとに心にぽっかり穴が空くのかな。
そう思うと時間が空くのが怖くなっています。

子育てで一番手がかかる頃に誰かからもらった言葉
「子供はいつかは出ていっちゃうからね」
その時が来たのかと思うと、小さかった息子との日々が走馬灯のように蘇ってきました。

ーーーもう一緒に生活することはないのかな。
そう思うと今は涙が出ます。

ーーー明日帰ってくるん?私ヨガ教室やからおらんよ?
そんなふうに笑って話せる、自分時間を存分に楽しんでいる母になりたいです。

だから、なるべく予定を詰め込んで忙しくしていきたいと思います。

旅立ちの日、笑顔で手を振れますように!

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