見出し画像

「〇〇産赤霧島!」宮崎県or鹿児島県、どっち!?

ある居酒屋でのことです。『宮崎産「赤霧島」入りました!』と、壁に大きくPOP(広告チラシ)が貼ってありました。珍しい焼酎で、頼もうかな?でも他にしようかな?と悩みながらメニューを開くと、そこには『鹿児島産「赤霧島」』の表記。あれ、どっちだっけ!?と思いながら注文へ。

古川「赤霧島を頼みたいんですけど、宮崎?鹿児島?どっちでしたっけ(笑)?」

店員Aさん「あれ??どっちか、間違ってますね(笑)すみません~。」

で、注文した赤霧島を持ってきた店員Aさんは、若い男性店員Bさんと、大将(マスター)とを連れて、

マスター「すみません、こいつ(B)が、間違えました!宮崎産です!霧島酒造は宮崎県都城市でした!」と。

単に気になったので聞いてみたのですが、わざわざ丁寧にお詫びに来られました。すると、ちょうど横を通った店員Cさんから、

「お腹に入れば、みな一緒!!」と突っ込みが入るという・・・(笑)

産地偽証とかじゃなくて産地が書いてあっても、結局まぁ、そうだよね~という空気感で楽しくお酒をいただきましたが、中身(商品力)に対して、産地、パッケージデザイン、売り方その違いとは何なんでしょうか。中身だけでの勝負ができるには相当の目利き力が必要で、某テレビ番組の一流芸能人格付けランキングではないですが、AかBかどちらがホンモノかと言われても間違える人が多い中、味覚だけの勝負ではないのです

そう、私たちは、お酒を舌の味覚だけで感じるのではなく、脳で味わっています。霧島市は鹿児島県だけれど、霧島酒造は宮崎県。そんな都道府県の区分が正しいか否かのみが重要ではありませんが、“霧島と言えば、日本初の新婚旅行をしたと伝わる坂本龍馬が、おりょうと行った先だな”と、産地の背景を思い浮かべて焼酎を愉しむのです。

お酒のある暮らしを売る


ビールもそうですね。サラリーマンが汗を流し、カッコよく働く動画が流れ、落合信彦氏がビールを飲んで「スーパードライ!!」と叫ぶ。高度成長期には、ビールのテレビCMと言えば、サラリーマンが仕事終わりにガっと飲むシーンが映し出されることが多かったように思います。しかしながら最近では、女優さんが「ねぇ、一緒に呑もう♪」と話しかけるような、癒し要素の入ったCMも多く見られます。いずれも単にビールという飲み物だけを売っているのではなく、“どんな時間を過ごしているか”と、お酒(ビール)のある暮らしを伝えているのです。つまり、私たちは頭で考え飲んでいる。頭で考え食べているのです。

木材の産地認証においても、第三者機関に認証を任せる前に、まずは自分たちで、産地の違いや信ぴょう性、文化・歴史、生産者の顔と技術を掘り起こし、伝えていくべきではないでしょうか。何故ならば、それは確かに全国によって違うのだから、その差は伝えていくべきです。もちろん、偽証や過剰装飾はいけませんが、DNA(品種)、環境(風土、土壌、気候)、育て方(技術)、加工の仕方(製材、乾燥、仕上げ)によって、仕上がる製品品質は異なります。以前、MOKスクール(大阪)で、こんな言葉を教えていただきました。

木はつかう、林ははやす、森はまもる。
(筑波大学名誉教授 安藤邦廣氏の言葉)

このような教養的なところも含めた消費を促すことが、いつの時代においても、地域の文化を醸造してきたのではないかと思うのです。

(地域再生・森林再生コンサルタント古川大輔日記 2016.12.22より編集)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?