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心が落ち着く秘密の場所

静かな竹藪の中に、真っ黒な猫が一匹佇んでいた。

そう書くとどこまでも続く壮大な竹林を想像してしまいそうだが、実際は何て事ない、住宅地の一角にある竹やらなんやら生えている雑木林である。

竹のおかげで光が柔らかく降り注ぎ、4月下旬の春だけれど、初夏の香りもするような暖かい日であった。

静かで心地よい空気の中、黒猫は何をするわけでもなく、ただ座っていた。

じろじろ見るのもなんだか申し訳ない気がして、実際には通りすがりに見ただけなのだが、すごくそこに馴染んでいた。

野良なのか飼い猫なのか知らないが、いつもここに来て、こうしているのです。と言っているような気さえした。

人間にもそんな場所が必要であると思う。

特にHSPの人は色々なものに対して敏感なので、五感を休められるような、逆に五感を開くことが心地良いような、
そんな場所を作ると良いと思う。

自然のあるところ、空が広く見えるところ、社会の喧騒から逃れられるところ、また自身の家や部屋。

個人的には自然があるところが好ましいのだが、なかなか難しい。
公園になっているところは他の人が入ってくる可能性が高く、一人の世界に浸れない。
かといってあの猫のように竹藪の中、ただ一人、じっとしていたら、それを見かけた人に気味悪がられ、最悪職質されかねない。

家や部屋は一人暮らしの場合は一人に浸れるが、それでもどうしても隣上下の住人の生活の“音”に気を取られかねない。

なんとも生きづらい。

なので最近は心の中に、自分の理想の“自分だけの癒される場所”を作っている。

HSPの想像力を利用し、細部まで、自分の好みを作り上げる。

そこはその日によって違うし、誰も入ってくることはできない。
目を閉じれば、いつでもそこに行ける。

暖炉のある、暖かくほのかな灯りが心地よい、揺り椅子のある部屋だったり、川のせせらぎが聞こえる、草花の香りと木々の香りの混じる、森の中だったり様々だ。その自由さも良い。

そこに行くのは、ああ、疲れているなと思ったとき、いやもう少しで疲れそう、という頃の方が良いかもしれない。

心が疲弊する前に、自分を癒す“場所”に行くというのをお薦めする。


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