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それは、クリスマス前 の できごと。

 
う~たんが森をさんぽしていると、
だれかの泣きごえがきこえてきました。


う~たんがこえのする方へいってみると、
シマリスのりりぃが木のねもとで泣いているではありませんか。
 
『どうしたの? りりぃ。おなかがすいちゃったのかな?』

う~たん の といかけにりりぃは首をふります。

『ちがう、ちがうの。クリスマスにみんなでたべようとおもっていたとっておきのどんぐりが、どこをほってもないの』

シマリスたちは、 まいとし 秋になると、たべものがなくなる冬のために、たべものを土にうめるのです。りりぃのクリスマス用のどんぐりが、どうやら どこかへいってしまったようなのでした。
 
『なんだ。それなら、みんなで 探せばいいよ』

う~たんはそういうと、なかまたちといっしょにりりぃのどんぐりを探しはじめました。

『りりぃ、これはどうかな?』
『ちがう、ちがうの。わたしのはもっとおおきなものなの』
 
『りりぃ、これなら もんくないでしょう?』
『ちがう、ちがうの。わたしのはもっとピカピカひかって、リボンもまいてあったの』
 
『ふふふ。じゃあ、りりぃのさがしものはこれできまりね』
『ちがう、ちがうの! それはそもそもどんぐりじゃないでしょ!』
 
おやおや、みんな 探すこと自体が楽しくなって、どんぐりを探していることを忘れてしまったようです。

そうこう しているうちに、夜がちかづいてきました。
風がつめたくなって、ちらちらと雪がふりはじめます。
 
『ん? 何だか、この木の周りだけ明るいなぁ……』

『そうだね。何でだろう?』


『おぉーい、おーい! どんぐりさ~ん。いったいどこにいってしまったの~?』


う~たんがそう叫んだとき、あたまの上から こんなこえがきこえてきました。
 
『ここだよ、ここ! ぼくはずぅっとずぅっとここにいたのに!』


みんなが上を見あげると……。


『あ、そうだわ! きっと りりぃが土にうめた あとに、 芽が出ておおきくなったのよ』

『それにしても、ひかる どんぐりの木をはじめてみた』

『そう。それなら、見つからなくても あたりまえね』
 
りりぃは すこし さびしそうにうなずきました。
 
それを見た う~たんが何かをおもいつきます。

『じゃあさ。今日、見つけたものでこの木をかざりつけしない? みんなで今からクリスマスをしようよ!』

『うん、それは だいさんせい!』

それから、みんなはいそいで どんぐりの木をかざりつけし、すてきなクリスマスをすごしたのでした。
 
おしまい。


↓朗読もつけてみました。
ただし、全ての声はChii。であることをご了承ください 笑

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【あとがきのようなもの】

何だか、
唐突に絵本がかきたくなり、
衝動的に創った作品です。

大切なものって、

案外 近くにあったり、
思った姿と違ったり、
人から言われて気づいたり

することってありませんか?


そういう思いを込めて、
ちょっとだけ寓話の要素も含めて
かいてみました^ ^


楽しんでいただけたら、
すごく嬉しいです。

ではでは~


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