おばあちゃんも忘れてる、おばあちゃんの味
小学校低学年の頃。
両親が仕事で留守の日は、おばあちゃんが私と妹のごはんを作ってくれていた。
たしか、春先のこと(初夏だったかもしれない)
おばあちゃんが「今日はピクニックしよう」と言い出した。
どこか公園でも行くんかなと思っていたら、
家の裏庭に折り畳み式の小さいテーブルを出して、そこに室内で使ってる普通の皿なんかを並べ始めた。
ピクニックというか、家の外でそのまま昼ご飯を食べるスタイルだった。
そのピクニックは1回きりだった気がするけど、
そこで食べたものの中でひとつ、忘れられないものがある。
ヨーグルト味のサラダ。
当時、「ヨーグルトのサラダぁぁ??そんなん合うわけないやろ」と思いつつ(嫌な小学生である)食べてみると、野菜とヨーグルトが合う。おいしい。
そのギャップが幼い私には大きすぎてすごく印象に残ったのかもしれない。
私が大人になってから、おばあちゃんに「あの時のヨーグルトのサラダおいしかったなあ、また食べたいなあ」と言ってみると、
「そんなん作ったっけ??リンゴとか、入ってるようなやつ?」
と言われた。
おばあちゃんの記憶から、消えていた。
よくある、ヨーグルトとリンゴのあえたサラダとかではなく、
洋風のヨーグルトドレッシングとかでもなく。
私の記憶が正しければ、あれはヨーグルトにちょっとお醤油が入っていて、和風だった気がする。
覚えている具材はしめじ(なんでそこだけ??)
あの時の味を思い出しながら、自分で作ってみることにした。
あったかいサラダだった気がしたので、とりあえず、なんとなく具材を切って炒める。
しめじ、ベーコン、トマト。
ベビーリーフは水にさらす。
ヨーグルトには、和風だったという記憶だけを頼りに、醤油とみりんを適当に入れて混ぜる。
野菜をトッピングして、上からヨーグルトをたらして食べる。
うん…こんな感じの味だった気がする、けど、
ベビーリーフの草感が強すぎる。
余った具材とヨーグルトで2回戦目。
お次は最初からあえてみた。
お…さっきよりも近い、気がする!
しめじ、ベーコンの味の濃さとヨーグルトがあう。
雰囲気だけで作ったが、これはリピートしてもよさそう。
土井善晴さん的に、
「うちにあるもんで、自分の感覚を信じて作ったらええんです」といったところでしょうか。
一人暮らしを始めてから、名もなき料理を作ることも多い。
おばあちゃんも、家にあったもので何か、孫たちが喜ぶものを…と思ってサラダを作ってくれたのかも。
家にこもりがちで、ゲームばっかりしている現代っ子な孫を少しでも外に…と思って、プチピクニックを企画してくれたのかも。
おばあちゃん自身、今となってはそんなこと覚えてないと思うけど。
(少し美化されているかもしれない)私の記憶と味をここに、置いておく。
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