コンサートの記録:室内楽フェスティヴァル『シュパヌンゲン』前夜祭、リーダーアーベント(6月18日)

ドイツ西部の町ハイムバッハ(Heimbach)で、毎年1週間にわたり室内楽フェスティヴァル『シュパヌンゲン(Spanunngen)』が開催されています。

今年は6月19日から26日まででした。

ハイムバッハはドイツのケルンから南西に約60km、アイフェル地方の風光明媚な保養地です。ここにユーゲントスティール建築の素敵な水力発電所があります。
この水力発電所は1905年に稼働しました。タービンは1975年に取り替えられ、現在も稼働中です。

水力発電所前の橋からの風景


シュパヌンゲンは毎年6月の1週間、この水力発電所で開催されます。
その間は停止しています。

シュパヌンゲンは1998年に始まりました。
芸術監督はピアニストのラルス・フォークトです。

フォークトを中心に、事務局は近隣の人々が務めます。音楽、芸術を愛し、支援する人たちです。

コロナ禍で20年、21年(ストリーミングのみ)と開催されなかったのですが、今年復活しました。

しかしコロナ禍のみならず、このフェスティヴァルをめぐる状況は大きく変化しました。

まず昨年7月14日、この地方は大洪水に見舞われました。
ハイムバッハは奇跡的に大きな難を逃れたものの、すぐ近くの町の中には壊滅状態になったところもあります。
この影響で、いつもアーティストが集合し宿泊していたホテルも閉鎖されました。

また24年前にフェスティヴァルを立ち上げた人たちも高齢化し、引退する人も増えています。

もっとも悲しく辛い変化は、フォークトの病気です。
フォークトは難しい癌にかかっていることを公表しています。

今回もフェスティヴァル直前にドクター・ストップがかかり、ハイムバッハに来ることもできませんでした。

6月18日は前夜祭として、フォークトのピアノによるプレガルディエンのリーダーアーベントが予定されていましたが、フォークトは出演できませんでした。

6月18日のプログラム。

フォークトの名前はそのままです
水力発電所内に設られたステージ。ピアノの後方両側にタービンが見えます。
拍手に応える2人


FOTO:©️Kishi





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