久しぶりのさようなら。
そうだな、例えるならなんだろう。この空気。いつものガラスに映るような彼女の姿はそこになかった。とてもじゃないけど、僕達は三年もの間、時間を共にしていたとは思えなかった。正確に言えば、二年と半年と数日だ。
彼女はいま、まるで僕をどぶ板を見るような目で射抜き、頑なに和解する意思がないことを示していた。
この空気。重たい。どれくらい重たいかというと、僕はもう彼女を二秒以上見つめていることができない。無言のまま進んでいく道を、引き返す方法を探すよりは如何に安全に切り抜けることができる