作り手は、飲食店で何を見ているか
クリエイターとしての視点があるか?
伸びる人はここが違う
今回は、作り手として「伸びる人・伸びない人」を考えてみたいと思います。先日、『饗 くろき』の黒木さんとミーティングしていた時の話です。
僕がおすすめする飲食店に入ったら、行動がとにかくスゴイんです。写真は撮りまくるし、気になったものは何でも頼んでみる。しまいにはテーブルの幅まで測って、「なるほど…」とうなずく黒木さんがいました(笑)。
彼がすべてに興味を持ち、インプットしまくっていたのは、そこが飲食店だったからです。自分の店づくり、味作りに何か生かせないか? という視点で全神経を集中していました。それもワクワクしながら、楽しみながらです。
そんな黒木さんの姿を見て思ったことがありました。うちのスタッフもSNSなどに食事の写真、ラーメンの写真を上げていたりします。だけど、僕に見えてくるのは「好き」「おいしい」という空気のような気がするんですよね……。
まず、消費者として食べている姿が見えてきちゃうんです。作り手として「これって、どうやって作っているんだろう?」「同じものはどうやったら再現できるだろうか?」という視点は、残念ながらまだあんまり見られないようです。
ラーメン二郎が好きだから二郎を食べに行く。全然いいんです。いいんですが……作り手にとっての資産にはならないでしょう。二郎をインスパイアしたメニューを作ってみろ、と言われて再現できるか、どうかです。
次の限定ラーメンに生かせないか?
自分が独立した時のグランドメニューのヒントにならないだろうか?
作り手、生産者、クリエイターの視点で何事にも臨める人――ラーメン職人として立つ人に僕が望むのは、そういう「目」「考え方」です。
だから、飲食店に入って、オーダーして、食べる時は「厨房の中の人」として食べなければいけないと思うんです。自分の業種業態とはまったく違う、たとえばコーヒーを頼んでも「どうやったらおいしく淹れられるんだろう」「どうやったらうまく、お客様が喜ぶようにサーブできるんだろう」と考えるだけで、作り手としてのシミュレーションになります。
観察がない。模倣もない――だったら、そこには進歩もありません。
もちろん、ただ観察したらいいというわけでもありません。前章で書いた通り、明確で強い欲求・欲望があれば、必然的に観察眼は生まれるものです。情熱は行動に直結するからです。
まずは自分の中に熱い思いを育てる。そうやって初めて、作り手としての視点が持てるようになるはずです。熱い思いで、本気で取り組んでいきましょう!
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