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ペダル中毒。

グランドピアノのダンパーペダルを響きの良いコンサートホールで踏んだことがあるでしょうか?

言葉に形容し難い心地よさがあります。

空間に音が吸い込まれる瞬間まで耳を澄ますと、途切れた後の静寂に残る余韻までもが音楽です。

そう、ピアノはダンパーペダルを踏むことによって新しい世界が広がると言っても過言ではありません。

でも、広がった音は自分の耳で捕まえておかないとね。
心地よさにかまけて放っておくと、放たれた音は方々に飛び散りぶつかり合い雑音に化けることも。

ペダルの心地よさを知ると、ついつい踏みすぎてしまうのも分かるのですが…

レッスンの最初で難ありなペダリングをされた時、ノンペダルで弾いてもらいます。
音の保持はされているのか、打鍵の強さや刻まれたリズムは正確か、ダンパーペダルはこれらを綺麗に洗い流してしまいますから。
誤魔化すのにも有効な手段なので、薬にも毒にもなるのです。

かといって、踏むなとは言いません。
誰しもがディヌ・リパッティにはなれませんから。

そんな小難しいペダリングの効果を最小限に、精密にコントロールしている演奏をドビュッシーで聴いてみてください。
お見事!としか言いようのない響きがそこにはありました。

ピアニストは、写真を見ればクラシック好きな方にはすぐにわかってしまう、あの素敵な髭をたくわえたサンソン・フランソワ。
ショパンでお馴染みですが、ドビュッシーもなかなかのもので。
単純に、一度聴いただけで好きになってしまいました。

うんうん、伊達に髭を生やしたわけではないのですね、と。

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