見出し画像

さいごの願いを想うこと~呉・江田島旅行記③~

二日目の朝。なんとか起きた二人は阪急ホテルの美味しい朝食をむしゃむしゃと食べて、予定より一時間程遅れて出発しました。
この日は予定がぎっしりだったので、早めに起きて最後ギリギリまで遊びつくす所存でした。

ホテルを出て、すぐに荷物を呉駅のコインロッカーへぶち込み、駅前のバス停から向かったのは……
入船山記念館!
私が是が非でも呉に行きたいと思ったのは、この記念館の存在があったからでした。入船山記念館に中にある「旧呉鎮守府司令長官官舎」に行きたかったのです。南雲長官が暮らしていた官舎。伝記小説にも出てくるここに行かないという選択肢はありませんよ。むしろ今回の旅行の計画はここを中心に立てられたものといっても過言ではありません。(まあ教育参考館で全部狂ったんですけどね)

呉駅からバスですぐでした。「眼鏡橋」というバス停で降りると、「この世界の片隅に」の看板やらなにやらいっぱいありました。母がドラマを見てたな~くらいの知識しかなかったのでスルーしたんですけど、これ母に話したら「どうして写真を撮ってこなかった!!」とこっぴどく叱られてしまいました。ひどくないか?
正直それどころじゃなかったんだもの。私、所謂歴女って奴でいろんな歴史上の人物を好きになって調べてきたけど、住んでいた家に行くっていうのは初めてでしたし、前の日にあれだけ生きていました~~!って証拠を突き付けられたのだから、頭がくらくらしていました。(近代史の方を好きになるとこういう時もありますよね、うん。文豪さんとかね、好きになったらね)

バス停から坂道を歩く。

マンホールがめっちゃ可愛い。こういうのをラバストにして売ってくれたら私買っちゃうって話をしながらゆっくりと坂道を歩いていく。ここはずっと昔から坂だったのだろうか、とか。そしたらここを歩いただろうとか。
姉はいつの間にか私を後ろからずっと写真に撮ってくれていた。トップのヘッダーにしている写真は今回の旅行中、旧長官官舎で姉が撮ってくれた写真です。姉はずっと写真を撮っている人だから、写真を撮るのがうまいのだ。とっても素敵な写真をいっぱい撮ってくれた。本当に嬉しい。今回の旅行での一番の宝物である。

そうこう言っているうちに!

じゃん!ついた!
今はこんなノリで書いているけど、もう内心ドキドキのバクバクで死にそうでした。中に入ってすぐアシナガバチに襲われそうになったけどなんとか逃げました。なにしてるんでしょうね。

少し歩くとすぐ旧海軍工廠塔時計と……

番兵塔があります。この番兵塔、いつでも番兵さんが立っていたので……

足の形が残っているんです……すごいね。

さらに上に登っていくと……

とうとう来ました。
旧呉鎮守府司令長官官舎です。

なんだかアホみたいですが、写真のままだと思いました。
それから券売所で券を買い、まずは郷土館を見学。ここにも長官が代々使っていた時計とかが展示されてて、もうなんていうかどうしようという感じでした。(語彙力)

さらっと見学した後は、いよいよ官舎の方へ。
洋館側(長官の仕事場)の入り口ではなく、和館(長官の生活スペース)から入るようになっていました。

えっ
思ったよりめっちゃ家やん……

すんごく緊張しました。誰もいないのに「お邪魔します……」と言ってしまうほどに家だったもので。

いやもう……ここで生活してたとか……

とりあえずすぐに洋館部の方へ回るルートになっていました。

表から見た玄関を中から見てみる。ガラスの装飾が、すごくキレイでした。この様式の高さはなんというか旧海軍~~~!!って感じですよね。この屋敷自体がまさにそんな感じです。

ここが応接所兼書斎。ここの雰囲気が一番好きでした。

ここが客室です。ここの壁紙に使われている金唐紙がとても素敵で、栞を購入して帰りました。

そしてこっちが食堂。天井まで金唐紙がすごい。

実はここ付近で、姉がトイレに行って一人ぼっちになってしまったんですけど、雰囲気がありすぎてちょっと怖かったです。廊下がギシっとか言うし、平日の朝だから人が全然いないし。

ここからは和館側になりますね。生活スペース……

部屋がいっぱいあって迷いそうだよね~~なんて姉と話しながら。ずっと前に修復作業なんかもあって、完璧に同じとは言えないけれど、ここで暮らしていたんだなぁ、と思うと。ああ、よかったな。来てよかったなって思えました。
最後、入り口と同じ玄関から出るとき、少し座り込んでしまいました。余韻がすごくて。ここに、住んでいたんだもんなぁ。呉鎮守府司令長官になった時には、もうなんというかボロボロだったであろう頃で……ここで、ここで海に戻りたいと思ったんだろうなって考えると、苦しくて仕方なかった。そしてその思いや決断が、自分の人生の終わりを決めたんだ。それは望んでいたものとは違う形で訪れて、長官の最期の願いが叶うことはなかったんだ……。

後は外をぐるりと。このあたりから姉からポーズの指定が入りだして、なんだかコスプレしてないけどコスプレの撮影会みたいで楽しかった。(元・演劇部)こんな撮影会みたいになるのなら服やらカバンやらを考えてくるべきでした。今度行くときはそうしよう。うん。

(やっぱりこの玄関のガラスの模様、とっても美しいですよね……)

次の予定もあるので入船山記念館を後に。
ああ本当に来てよかった……。まだいたいと思う気持ちを押し込めて、元来た道を下る。途中また顔はめパネルがあったので今度は私も顔をはめてきました。くそ恥ずかし。

またバスに乗り、呉駅に戻る。
そこから歩いて……次に向かうは大和ミュージアム!
というわけで大興奮の大和ミュージアム編は次で。(入船山記念館の感想、長くなっちゃったんだもん)