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11_制度を統一する本当の理由

2つの会社が合併するとき、必ず出てくる課題のひとつに「2社がバラバラに運用している制度の統一」があります。

では、なぜ制度の統一が必要なのか?
よく言われる理由は、運用の効率化です。似たような効果をもつ制度が2つ存在している場合は、統一したほうが運用コストを低く抑えられます。

制度は、創設したから終了、ではありません。導入後が本番なのです。この辺りはシステム導入と似ていますね。

制度の周知から、関連部署との情報連携、利用実績の管理、時勢を考慮したアップデートまで、導入後の運用は想像以上に工数が掛かるのです。
この運用コストを抑える目的で、制度の統一に着手することは、ごく自然な流れだと思います。

私はこれに加えて、もう一つ理由があると考えています。組織不安定化の未然防止です。

A社とB社が合併した後、A社だけに適用される福利厚生制度があるとしたら、B社スタッフはどう思うでしょうか?自分たちはA社スタッフほど優遇されていない=自分たちはリストラ候補、そう想像するのではないですか?

合併間もない安定していない組織の中で生まれた、要らぬ疑念は、瞬く間にスタッフ達へ転移します。まるで、健全な細胞がガン細胞に侵食されていく過程です。経営陣が気付いたときは、時すでに遅しです。

気付いたところで、疑念を晴らすことは困難だと思います。やっていないこと(B社スタッフのリストラ計画など存在しないこと)の証明は不可能に近いからです。悪魔の証明、と呼ばれるアレですね。

2つ目の理由に気付かない経営者は、意外と居るのではないでしょうか?リストラと隣合わせの環境に身を置いていなければ、薄れていく感覚だと思います。

成果評価は不平等で良いが、制度は平等であらねばならない。
私が信頼の置ける社長と仕事をするときは、こうしたことも言語化して伝えるようにしています。


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