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17_爆速1週間で派遣社員を採用する方法

採用に携わっている人なら強く実感していると思いますが、派遣社員の時給はこの半年ほどで更に上昇しています。個々人の保有スキルはさほど変化が見られないにも関わらず、です。
加えて、この8月前半は連休が控えていた影響もあり、応募者数がグッと減る傾向にありました。

採用側にとっては苦しい状況です。
その中で、私の部署(以下BPOチームと称する)は相場よりも低い時給レンジでの募集にも関わらず、要件にフィットする人材を、求人公開から1週間、正確には5営業日で採用することができました。
このnoteには、その時の工夫を記録しておきます。


何よりも『要件定義』が大事

私は仕事でPM(プロジェクト・マネージャー)やシステム導入を経験している為、要件定義の重要性を理解していました。
要件定義を疎かにしたプロジェクトは、高確率で瓦解します。戦略の失敗を戦術で巻き返すことはできないのです。

また私は人材採用のプロではないものの、これまで経験した複数社において、中途採用者のフィット感の低さを見聞きする機会が多くありました。
その理由を自分なりに考えるなかで、採用活動において求人の要件定義がしっかり為されていないことに要因がある、という仮説を持っていました。

ゆえに今回の派遣採用においても、募集要項という名の要件定義をしっかり固めることに注力しました。

募集要項に何を記載するか

部署の概要説明
エージェントや応募者がまず目を通すのは、この概要欄です。端的に、次の内容を記載しました。

  • 【カルチャー】BPOチームが、どのようなスタンスで業務にあたっているのか。ルーティン業務への耐性が必要なのか、それとも変化に対する適応力が必要なのか。

  • 【立ち位置】BOPチームは二次元コンテンツを取り扱う事業本部に属しているが、その事業本部のなかでどのような位置付けの部署なのか。

業務環境
応募者からの心理的距離を近づけたいがために「アットホームな環境」を全面に押し出す募集要項をよく見かけます。それが悪いとは言いませんが、その情報提示は、あなたの採用目的を達成するために最適な手段でしょうか?募集するのは共に働く仲間であって、友達候補ではありません。
新しくジョインする人の視点に立って、次の内容を記載しました。

  • 【メンバー構成】組織構成のイメージを持ってもらうため、正社員や派遣社員の人数も記載しました。

  • 【自部署の環境】男女比率、どのような性格のメンバーが多いのか。直近でジョインしたメンバーからの評価(不明点を質問した時に、いつも快く丁寧に教えてもらえるので、不安なく仕事ができる等のリアルな声)。

  • 【関連部署の環境】BPOチームは複数部署を業務支援する機会が多いため、この情報は必須と考えました。例えば、フロントとバックオフィスの壁が薄く、対等な立場で業務を進めることができる等の情報は、セクショナリズムの強い職場で疲弊している優秀な求職者に刺さると思います。

業務内容
エージェントがスタッフ選定をするために重要な情報です。この記載内容によって、紹介する人材のレベルを明確に調整してきます。
つまり「投資先として有望か?(この企業で仕事をさせたら、スタッフの市場価値は上がるのか?)」冷静に見極めているのです。

BPOチームは一般的なバックオフィス部署が引き受けていない、編集アシスタント業務やマーケティング用のデータ・リサーチ業務も受注しています。
これは私の方針に基づいて、専門性の高い業務の受注と多能工化が推進されているためです。我々と共に働くことでスタッフに付加価値がつくという、強力なアピール・ポイントになるため、具体的に記載しました。

求めるスキル
BPOチームは業務範囲の広さゆえに、そのすべてに対して経験値がある人を求めるのは難しいことを理解しています。スキル要件をMustとWantに切り分けて記載することは必須です。

余談ですが「Excelのピボットテーブルが問題なく使用できるレベル」という記載の仕方では不十分だと、人事担当がアドバイスをくれました。
求めるレベルが「ゼロから作成できる」なのか「フォーマットの関数や設定を壊さずに修正できる」なのか踏み込んで明記すべき、とのこと。

求める人物像
行動特性であったり、仕事の進め方といったファジーな部分の言語化です。
自分たちの部署・チームのカルチャーを行動レベルまで具体化して記載すると良いと思います。
マーケティングの人たちが作るカスタマージャーニーと同じです。

出社頻度
OJT期間中とそれ以降の出社頻度を記載しました。
エージェント曰く、出社頻度が低いほうが応募者の反応が良いそうです。
リモートワークで支障なく業務を進めることができる応募者なのか、見極めは必要です。

実際にどんな応募者が来たのか

嬉しい悲鳴ですが、ハイスペック人材の紹介が相次ぎました。

スキル要件や行動要件を軽々とクリアしたうえで、派遣社員の募集にも関わらず正社員としてキャリアを積んできた方であったり、営業企画のキャリアが豊富な方であったり、ミスが許されない金融と変化が激しいベンチャーの両方での勤務経験がある方であったり、業界の知見が豊富な方であったり。

求人公開から2営業日も経たないうちに、募集を停止することになるとは予想していませんでした。この勢いでハイスペック人材を紹介され続けたら、選定が追い付きませんからね(^-^;

結び

派遣社員の求人で要件定義をしっかり固める企業は少数派です。(正社員求人ですら出来ているか怪しい企業はたくさんありますが…。)
だからこそ派遣会社(エージェント)に対して差別化する余地があるのだと、私は考えています。
アンマッチな人材を採用して苦労するのは、他でもない自分たちなんです。

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