私のささやかな楽しみ

どうかお願い晴れてください、そう願って眠りについた。明日は2ヶ月に一回のお楽しみの日だからめいっぱい満喫するんだよ、と自分に言い聞かせる。
前日の今日はお風呂から上がってドライヤーをかけていつもつけているトリートメントをつけなかった。ちょっともったいない気がしちゃうから。

そして当日。早起きして急いで支度して自転車にまたがる。ちゃんと色がついて少し汚れてもいいように、私の中の準お気に入りの服を着て風を切る。
髪の毛にはきちんとストレートアイロンを当ててきた。少しくせっ毛な私の髪は、短い子たちがいろんな方向に向かおうとしていたけど熱で大人しくさせてきた。

あ、時間ギリギリになっちゃった！目的地に着いたら急いで自転車を止めて中に入る。「10時から予約していました」と言うと「お待ちしておりました」と受付のお姉さんがにっこりと微笑んでくれた。よかった、間に合った。

そして2時間後。全ての工程が終了した。

対応してくれたお店の人が大きな二つ折りの鏡を持ってきて、「こんな感じで大丈夫ですか？」と尋ねてくる。私は、はいと答えた。

まだ12時だ。午後は何をしよう。最後にせっかくコテで可愛く巻いてもらったのだから少しお出かけしてみたい。昨日の願いが通じたのか外は晴れて春の陽気が私を包む。あ、そうだ前買えなかったパン屋さんにカヌレ買いに行こう。そう思いついたからちょっと遠いけど自転車を走らせて新しい目的地のパン屋さんを訪れた。あ！あったカヌレ！嬉しい。

そこでたまたま大学の友達に出会って、1人？と聞かれた。だから「うん、さっき美容院行ってきたから」と答えた。え〜いいね！と言われてから一緒にいた友達の友達に「めっちゃ可愛い！！」と褒められた。全然話したこともない子だったけれど単純に嬉しくて素直に「ありがとう」って言えた。

春の暖かい空気にもっと触れていたかったから、買ったパンとカヌレを持って公園に寄った。ベンチに座りながらお昼にして、カヌレに感動して、さっきの友達の友達の言葉を思い出して嬉しい気持ちが込み上げてきた。気分が上がって普段はしない自撮りをした。顔のななめ前にカメラを構えて右肩にかかるアッシュがかかった黒髪の毛先をおさめる。いい！！

夜はバイトで、巻いてもらった髪を低い位置で緩く束ねてお店に行った。誰にも何も言われなかったけど自分の中では大満足で、来てくれたお客さんにも、心からの笑顔で料理を出した。最近はお客さんが少なかったけど、今日はなぜかたくさんのお客さんがお店に食べにきてくれた。不思議だ。

私の髪は色が入りやすくて落ちやすいとかよく言われる。明日と明後日と来週の木曜日の予定までは持つかな。お願い、色が持ってほしいから、今日美容室のお店の人に教えてもらったアッシュシャンプーを使ってみようかな。春だから髪色を明るくすることはせずに、逆に暗くしちゃって少し後悔しかけたけれど、今の髪色気に入った！

公園でテンションが上がって撮った写真を好きな人にだけ送ったら「可愛い」って返信が来た。嬉しい。私のささやかな楽しみの1日はもう終わっちゃう。けど十分すぎるほど満喫できたよ。これでもうちょっと頑張れる。

ここまで読んでくださってありがとうございました！