夕日と海が見える場所

私は瀬戸内出身だ。正確に言うと、瀬戸内の中でも海に入っていく夕日が見える地域。太陽は東から昇って西に沈んでいくわけだから、日本列島の地図を思い浮かべた時に、それはもちろん限られてくる。

そんな瀬戸内で育った訳だが、私の実家は別段海に近いという場所にあるわけではなかった。だけど、小さい頃は家族で海水浴に行ったり、高校生になってからは友達と自転車で海まで一緒に漕いだりと、年に1、2回ほど海に訪れてはいた。

高校を卒業して、大学生になって、今生活しているのは関東。大学でできた友達と話していた時のことだった。私はひとつ、自分にとっては非常に衝撃の事実を耳にした。

「海に入る夕日は関東では見えないんだよ」

え、、、、!!?!そんな、、。

でもよく考えると、それはそうだ。至極当たり前の事実ではある。冒頭でも述べた通り、太陽は東から西に、毎日一定の動きを繰り返すわけで、太平洋側すなわち日本列島の東側の海からは、基本的に日の入りは見えない。

まだ上京してきてからこちらの海を訪れてはいないけれど、地元の瀬戸内海で当たり前に見ていたあの夕日と海のセットが見られないと知ると、軽いカルチャーショックを覚えた。

何度も繰り返すが、日本海に面している地域と瀬戸内海の一部の地域でしか夕日と海を同時に見ることは出来ない。

この事実はきっと自分が地元から出て、関東に暮らさなければ気が付かなかった。地元にいた頃の私は、田舎だし、これといって何かあるわけでもないし、早く地元を飛び出して関東で生活したいと思っていた。しかし、最近、地元を出てから初めて判明することも多い。

今は私の地元、瀬戸内で育ったということが少し誇らしく感じる。瀬戸内で育って良かったと思えた瞬間であった。

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