見出し画像

『3びきのやぎのがらがらどん』現代版絵本がノルウェーでベストセラー!

おはようございます。
こちら(ノルウェー)は現在、朝の8時。真っ暗です・・・。
11月中旬のノルウェーは雪がちらつく程に冷え込みます。日照時間も極めて短く、朝は9時頃に日が昇り、夕方16時頃には日が沈みます。

暗くて寒い時期だからこそ、本日は読むと元気になれる愉快な絵本をご紹介します。みなさんは、『3びきのやぎのがらがらどん』という絵本をご存知ですか?小さいやぎ、中ぐらいのやぎ、大きいやぎの3匹がトロルの住む橋を渡って食べ物の豊富な草場に向かう物語です。リズミカルに繰り返されるセリフや迫力満点のトロルに子どもたちは惹きつけられる作品ですね。実は、トロルと3びきのやぎのお話はノルウェーの民話なのです。福音館書店さんから出ている『3びきのやぎのがらがらどん/マーシャ・ブラウン作/瀬田貞二訳』は私も子供の頃から親しんでおり、移住する際にノルウェーにも持ってきました。

2009年にノルウェーの児童書作家のビョーン・ロールヴィークさんが『3びきのヤギのブルーセ プールでおおさわぎ』という民話の現代版を発表しました。瞬く間に子どもたちの心を掴み、さらには保護者の心を掴みました。大胆なストーリーに加え、子供の落書きのようなイラストをコラージュしてあるのがとっても印象的な絵本です。ほのぼのとしたイラストからは想像できない大騒ぎをヤギたちとトロルが繰り広げます。
ノルウェーでは後にシリーズ化され、現在までに4冊の絵本が刊行されています。子供向けファミリーミュージカル、人形劇、ラジオドラマなどにもなりました。
ノルウェーではヤギの名前は3匹ともブルーセと言います。ブルーセとは炭酸などがシュワシュワっとはじけるような音、水が流れる音を表現するときに使います。とても綺麗な名前なんですよ。

3びきのヤギのブルーセたちはいつものように山の草場に向かっていました。そこで「プールランドまで200メートル」という新しく設置された標識を見つけます。
「怖いからトロルのいる橋を渡りたくない」「草場はたいくつだよ」などと言い出す弟ヤギたちの意見を聞き、ヤギたちはプールに向かうことになりました。無事にプールに到着したヤギたちですが、入館料を支払うのに手間取ります。いよいよプールに入ろうとするヤギたちは水着を着ておらず、職員のウサギに叱られます。プールに入る時は水着を着て、シャワーを浴びるのだと初めて知るヤギのブルーセたち。現代版ならではの内容に大人はきっとクスッと笑ってしまいますよ。
プールを満喫しているヤギたちですが、ここに突如としてトロルが現れます。トロルはプールでやりたい放題!他の動物たちはトロルが怖くてたまりません。3びきのヤギのブルーセたちはトロルと対決するのですが・・・ここでの舞台は橋ではなく、なんと巨大なウォータースライダー☆
いつものようにトロルはヤギたちと対決しようとするのですが・・・ヤギたちはトロルよりもウォータースライダーに夢中!?(笑)
最後はハッピーエンドの、とびきり楽しいストーリー。読後爽快ですよ!

日本では2019年末に翻訳本を刊行させていただきました。コロナ渦の中、発売イベントや宣伝もあまり出来なかったので、日本語版が出ていることを知らない方も多いのではないでしょうか。
子どもたちはもちろん、『3びきのやぎのがらがらどん』を愛読していた大人の皆さんにも読んで頂けたら嬉しいです。ぜひ一度、お手に取ってみてください♪

『3びきのヤギのブルーセ プールでおおさわぎ』さわきちはる訳/三元社


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?