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【10年目だけど】新人ケアマネ向け研修を受けてみた

こんにちは、ちはるです。

先日、都道府県の介護支援専門員協会で行っている、新人ケアマネ向けの研修に参加しました。
(副業のことばかりでなく、ちゃんと本業の仕事もやってます(笑))

私はケアマネとして10年目になるのですが、なぜそのくらいの経験があるのに、新人向けの研修に参加したのか。

こちらの記事にも書いているのですが、都道府県によって介護保険の解釈や指導内容が違うので、移住してきた都道府県の指導内容を確認したかったためです。

職場の上司(管理者)も聞けば教えてくれるのですが、上司がケアマネを取得してから年数が経っているので、当時と今とでは指導内容が違いますし、大きな組織には所属せず自己流でやってきた上司なので、細かいところがアバウトな面があります(それはそれで、仕事がやりやすいので助かりますが)。

また、今後主任ケアマネ(ケアマネを指導する立場)として自主的に取り組みたいこと、挑戦したいこともあり、そのために必要だと思ったので、今回の新人ケアマネ向けの研修に参加しました。

※なお、日頃はケアマネや福祉の記事を書くときに、福祉職ではない人が読むことも多少意識して分かりやすく書いているつもりですが、今回の記事は前提条件や専門用語の説明は省略しますので、ケアマネ以外には分かりにくい内容になっていると思います。


■研修の内容

新人ケアマネ(概ね実務経験3年未満のケアマネ)が対象の研修(ただ、3年以上の経験があるケアマネも一定数いました)。
施設よりは主に居宅ケアマネを対象としている研修内容でしたね。
オンラインで3時間の研修。グループワークの時間はありませんでした。

内容としては、居宅介護支援の一連の流れ(ケアマネジメントのプロセス)で、アセスメント、計画書原案の作成、サービス担当者会議の開催、モニタリング、支援経過記録など)について具体的な手法を学ぶというものでした(ただ、ケアマネなら分かると思いますが、この内容を3時間でやるには時間が全く足りないため、表面的な話だけで、具体的手法にはあまり触れられませんでした)。

研修を受けて感じたことを書いておこうと思います(研修の資料については複製を禁じられていますので、研修の内容というよりは私の個人的な見解が中心です)。

■新人ケアマネの学びになったのか?

以前働いていた都道府県を仮にA県とします。A県では(正確にはA県というよりもA県のケアマネ協会では)、アセスメントやそれを元に行う課題分析、そこからどうケアプランにつなげるか、ということに重きを置いていました。

そのため、実務研修でも更新研修でも、とにかくアセスメントと課題検討を中心に繰り返し学ぶパターンが多く、いろいろなところで行われる事例検討会もそれがベースになっていましたし、所属していた事業所で特定事業所加算算定のために毎週行っていたカンファレンスでも、課題分析を中心に事例検討を重ねてきました。

A県ではアセスメントに特化した研修というのも定期的に行っていました。
課題分析標準項目に沿って、ケアマネとしてどのような視点でアセスメントすべきか、ケアマネの役割とは何なのかを学ぶ研修です。標準項目の内容の一部を省略しても、丸一日(8時間)かかる内容(課題検討やそこからのプラン立案という内容を含まず、8時間です)。

今回のB県での研修はアセスメントからその後のケアマネジメントの流れ等、非常に多い項目を3時間にまとめたわけなので、どうしても表面的な内容にしかなりませんでした。

新人ケアマネを対象にした研修ですが、ケアマネの試験にも出るような、新人でも十分分かっているような、ごくごく当たり前の内容が中心で、専門的な技術や具体的な手法まではあまり触れられず。
本当に新人ケアマネの学びになったのだろうかという疑問はありました。

新人ケアマネが悩んだり、引っかかりやすいポイントに絞るか、そもそも、欲張ってケアマネジメントのプロセス全てを範囲にせず、「アセスメント」や「支援経過の書き方」等に焦点を当てたほうがよかったのではないかと思います。
今回は内容を詰めすぎてグループワークの時間はありませんでしたが、ケアマネ同士で日頃の躓きや葛藤などをシェアし会う時間があったほうが有意義だったのではないかと感じました。

■都道府県、市町村による違い

転職してから早々に気付いたこと(なんなら転職する前から予測していたこと)ですが、やはり都道府県によって介護保険の解釈や指導内容が違いました。

今はB県で働いているわけなので、A県で学んできたことは一旦置いておいて、B県のやり方に従わなければいけないのかなとは思うものの、やはりA県のやり方を繰り返し学んできて、それを自分の中でしっかり納得させて、それを元に他のケアマネへの指導も行ってきたので、考え方を変えるというのはなかなか難しいですね。
(できるだけ柔軟でいたいと心がけているつもりではあるものの、年を取るほど頑固になるものです…。)

具体的にどんな点が違うのか、いくつか挙げてみます。

◆居宅サービス計画書(1) 総合的な援助の方針には何を書く?

【A県】
A県では、総合的な援助の方針に、緊急連絡先や主治医を書くことは必須ではなく、私はこれまで、ケースに応じて記載したり、しなかったりしていました。

【B県、C市】
しかし、B県では、「総合的な援助の方針に緊急連絡先の記載は必須」とのこと。
また、さらに面倒くさいのが、B県の考えとしては「緊急連絡先は書かなければいけないが、法令上主治医を記載する義務はない」ということなのですが、私が働くB県のC市では「主治医(かかりつけ医)も必ず書くように」と指導されているんですよね。

このように、A県とB県での指導内容が違うわけです。
そして、B県の見解とB県C市の見解も違う。
まぁ結局、実地指導やケアプラン点検に入るのはC市なので、C市が指導するように作成しておかなければいけないのでしょうけれども…。

私は今までA県の方針でやってきたので、なんとなくB県やC市の指導内容にあまり納得できずにいます。

私の個人的な見解ですが、サービス利用中に緊急事態が発生した場合に(例えば急病やケガなど)、いちいちケアプランを見て緊急連絡先や主治医を確認します?と疑問があります。
どの事業所でも基本情報、フェイスシートは作成していると思うので、そちらを見ますよね?
何でもかんでもケアプランに書くというのは、ケアプランの本来の目的としてどうなのかなと感じました。
役割分担を明記しておくという意味で記載するのかもしれませんが、ケアプランは本人のニーズやケアの方向性、それに対して、関わる支援者の役割分担を整理するものであって、緊急連絡先や主治医、さらには既往歴、家族状況等々の基本情報を記載するのはまた別様式だと思います。

◆「健康状態の管理」「通院する」って計画書(2)に必要?

【A県】
ケアプランは治療計画を書くものではありません。病院での治療や内服で病状が安定しているのであれば、ケアプランにわざわざ「健康状態の管理」や「通院する」などは載せない、と指導しています。

ケアマネはあくまでも「病気による生活の支障を見る」のが役割なので、病気によって支障が出ている生活上の課題をプランに記載します。
例えば、「インスリン注射が必要だが、目が不自由だから自己注射ができない」→これは視力の問題。改善が期待できないのであれば手技を補っていく必要があり、プランにも記載します。
「通院が必要だけど屋外の移動が一人ではできない」→この場合は健康状態ではなくADLの移動の問題です。そちらで検討しプランに記載します。

【B県】
基本的にプラン2表の一番はじめに記載するのは「医療、健康管理」のニーズだそうです。
そのため、B県のケアマネが作成したプランには必ず「健康管理」「服薬管理」「通院」などの項目が記載されています。
訪問診療を利用している方、特に病状が不安定な方や終末期の方でなくても、です。

健康管理の部分をどこまでケアプランに記載すべきなのか、私としてはまだB県のやり方に納得できずにモヤモヤしています。

◆長期目標と短期目標の立て方

【A県】
これから改善していくことが可能なニーズについては、短期目標→長期目標とステップを踏むわけなので、もちろん目標の文言は変わってきます。
例えば、「短期目標:自宅内を一人で歩ける」→「長期目標:一人で近所の公園まで散歩に行ける」という感じです。

ただ、中には改善が難しいニーズも当然あります。
健康状態や身体機能の面から、現状維持や悪化予防で精一杯ということもあるでしょう。
その場合、短期目標と長期目標の文言は同じでも差し支えないと指導されています。

例えば、もう10年寝たきりの状態の方が入浴する場合。「自宅の浴槽に入れる」とか「一人で入浴できる」というように改善することは無理なわけです。
そうすると、「短期目標:介助を受け入浴できる」、「長期目標:介助を受け入浴できる」というように同じになります。

【B県】
長期目標と短期目標は別物、という指導でした。
ICFの視点をもとに、「活動」の「能力」から、できる活動やADLを短期目標にする。
「参加」の「能力」から、より良い人生やQOLを意識して長期目標を設定します。

短期目標と長期目標は必ず別の文言になるということだったので、先ほど例に挙げた入浴については、「短期目標:入浴してさっぱりできる」「長期目標:入浴して清潔が保てる」という風に書いているケアマネが多いです(別に不潔な方ばかりではないのに、「清潔に」というのはなぜかよく使われていますね)。

私がB県の指導に基づいて書くとしたら、「短期目標:介助を受け入浴できる」「長期目標:定期的な入浴が続けられる」。こんな感じでしょうか。
改善が見込めないニーズに対して、短期目標、長期目標を分けるというのはもう言葉遊びのような感じがしています。

■まとめ

ここに挙げた指導内容の違いは一例で、他にも都道府県や市町村によって指導が違う部分は多々ありました。
元々A県で働く前に、さらに別なC県でケアマネの資格を取得し働いていたので、都道府県が変わるたびに指導されることが変わり、困惑しています。

これからB県で仕事をしていくためには、B県のやり方に頭を合わせていかなければいけないわけですが、同じ介護保険法や運営基準、解釈通知が元になっているわけですから、指導内容も統一させてほしいなと感じました。
(ケアマネの実務研修や更新研修も、座学は全国共通のコンテンツでもいいのでは?)

ケアマネは実務や資格更新の負担ばかりがどんどん増え、待遇は改善せず、今後の成り手が不足している状況。省略できるところは簡略化していってほしいと思います。

個人的には、B県のケアマネ協会の見解やスタンス、新人ケアマネがどのような指導を受けて実務についているのかを多少垣間見ることはできたので、その点においては収穫がありましたね。

今後本業の仕事にプラスして取り組んでいくことについても、また記事にしたいと思いますので、見に来ていただけたら嬉しいです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


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