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知らないことを知っているフリをするという病は危険【マネー・ショート 華麗なる大逆転】

このnote記事はエンタメ大好き社会人(新卒)である私がエンタメ作品で面白く教養と視座を高めることを目的とした、「意識高い系な人」向けの記事です。記事内には「アップデートポイント」があります。私が考えたポイントですのでそれに対する賛否両論や映画の意見感想などはウェルカムですが、作品自体を誹謗中傷するようなことはここではお控えください。

さて、今回ご紹介するのは洋画の『マネー・ショート 華麗なる大逆転』です。2015年に実話を基に放映された社会派金融ドラマ。何と言ってもキャストが豪華。クリスチャン・ベイルとブラッド・ピットに加え、スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリングも出演していますからね。しかも、ブラットピットがプロヂューサーを兼ねているというところもミソです。本当に外れがない。監督は『アントマン』の脚本でも有名なアダム・マッケイ監督。リーマンショック崩壊を背景にした硬直した社会派映画で難しく硬いイメージがあるところをアダム・マッケイ監督がポップさとユーモラスさを交えて展開していくところが見心地を高めます。

『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』が原作で、実話が基になっているマネー・ショート。実話を基にした映画の好例といっても過言ではないほど卓越した作品です。サラリーマンの方や株をやられている人はもちろん、好きな俳優が出ていたり、金融の勉強にと思っている人にもおススメの映画です。

社会派ですが堅くなくユーモラスに鑑賞できますし、実話ベースなので気づきや学びも多く死角なしの映画です。おうち時間に是非一度ご覧になってみてください。


映画体験を高めるための予習(No Spoilers!)

さて、映画鑑賞する前に軽くと予習しておいて映像体験を高めましょう。マネー・ショートは確実に予習しておいた方が良いと思う映画です。理由はやはり、経済用語が飛び交うからです。映画を本当に楽しみたいのであれば抑えておきたい経済用語を抑えてから鑑賞することをおススメします。(私は調べてから2回目を観ましたが2回目の方が10倍面白かったです)。もちろんネタバレは無しで綴ります。ざっくりとした映画の内容は

リーマンショック以前に経済破綻の可能性に気付いた4人の金融マンたちがいました。金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、サブプライムローンの危機を指摘するが、ウォール街ではスルーされてしまう。「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引で逆転してやろうと考える。同じころ、銀行家ジャレド(ライアン・ゴズリング)がマイケルの戦略を知り、ヘッジファンドマネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)、伝説の銀行家ベン(ブラッド・ピット)らを巻き込みウォール街を出し抜いていく。

こんな感じ。

まあ、これが実話っていうのがドラマチックですね。4人の競演がとにかく素敵すぎるのでそれだけで目と脳が癒されます。映画の内容の概要は別のサイト(マネー・ショートの公式サイトなど)に任せて、金融知識の無い私の目線から、「これは知っておいた方が映画体験を高めてくれるよ」ってところを今回の予習ポイントとしてあげます

「MBS」や「CDS」といった金融用語は劇中で面白く分かりやすく説明してくれますが、大枠の経済用語などはあまり詳しく説明されないんですね。マクロ経済の多少の知識は知らないと映画の全体像がぼやけてしまうかと思います。ですので、全体像がつかめていれば、そこにいる様々な立場の人間の苦悩が理解でき、エキサイティングな経済ドラマとして楽しむことができるかと思います。

サブプライムローン:住宅ローンだけでなく、複数のローンを担保できる。プライムローンに比べて利率が高くなり貸付者が取る信用リスクも高くなる。作中ではめっちゃ売れていた。
・MBS(モーゲージ債):住宅を借りているものは、貸してくれている人に対して毎月返済額と金利を支払う。それをもらう権利を債権と言いますが、それらの債権を金融市場で自由に売り買いできるように金融証券にしたものがモーゲージ債。
CDO:CDO(Collateralized Debt Obligation /コラテライズド・デット・オブリゲーション)は複数の債券を元に発行される。複数(多くの)債券を束ねて組み直すことによって新たな“債券”を創り出すため、繰り返すことによって債券の中身がどんどん複雑になり、“精確な”格付けを行うことが難しくなる。また、これを繰り返すことによって、格付けが“BBB(トリプルB)”の債券を“AAA(トリプルA)”に変換することもできてしまう。こうすると、粗悪な評価の債権もなぜか評価が高くなってしまうので、映画の中ではみんななんで買っているんだ?って感じになってしまう。でも、みんな買っちゃうんですよね…
CDS:CDS(Credit Default Swap)は、企業の債務不履行にともなうリスクを対象にした金融派生商品。対象となる企業が破綻し金融債権や社債などの支払いができなくなった場合、CDSの買い手は金利や元本に相当する支払いを受け取るという仕組み。なので、保険所みたいな役割

専門用語を非常にコミカルにわかりやすく解説してくれるのがこの映画の醍醐味のひとつであるのですが、1度のみの説明で2時間も映画が続けば忘れてしまうことが多いかと思います。

是非予備知識として知っておいてください。もし、この説明でも分からない単語がありましたらお手数ですがググってから作品の本編を観てください(笑)。


アップデートポイント:データに基づく先見の明と野生の勘で時代を乗り越える

さて、今回のアップデートポイントはデータに基づく先見の明と野生の感で時代を乗り越えるということです。

映画を観ている多くの方は全員が同じことを感じているかと思いますので、変に示唆的なタイトルにする必要はないかと思いますので今回は映画を鑑賞し終えたら誰しもが「こういうことを伝えたかったんだな」と思えるタイトルかと思っています。

トレーダーたちは経済の流れを読み、ここぞという時に自分を信じ思い切った投資をすることで不規則な時代を乗り越えてゆきます。今回はお金に関することでしたがトレーダーたちの時代をデータから分析して、ここぞというときは勝負にでる勝負師魂はビジネスでも日常でも非常に参考になるマインドセットだと思っています。

作中では証券マンが金融バブルで謳歌しているのと反対に、逆張り投資を行います。それはCDOというものに明らかな欠陥があり、そこから予測できる未来の解像度が非常に高かったことが大きな要因です。データから近い未来を予測して、人間の野生の勘を基に行動に移すことは先行きが不透明なこの時代には必要不可欠なスキルといってもいいかと思います。『ファクトフルネス』の本でも同じようなことを言っていましたね。

そこで一番大切になるのは、知らないことを受け入れることだと思っています。妄信的に「これはこうだから」「これはみんなが買っているから安心だ」と思うことは思考停止になり本当は知らないことなんだけど知っている振りをしている状態と一緒です。映画の冒頭ではマーク・トゥエインがこのようなことを言っていました。

何も知らないことが厄介なのではない。知らないことを知っていると思い込むのが厄介なのだ。
(冒頭のマーク・トゥエインの言葉より)

確かに厄介です。ネットが広がり簡単にどこの国のどの人にも、どの情報にもアクセスできてしまう世の中になってしまった今「自分は物知りだ」と誤認する場面というのは多い事でしょう。でもそれはただの情報でとどまっていることが多く、自分で体系的に得た「知恵」にもなっておらず、ましてや人に説明できるほどの「知識」にもなっていないことなど往々にしてあります。

データに基づく先見の明と野生の勘をフル活用するためにも第一歩として「知らないことを知った振りしない」ことが鍵になると思っています。しつこくなりますが、投資家のマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)が住宅ローン市場の危険性を察知したのは、リーマン・ショックの3年前。彼はファクトベースで世の中のおかしさを分析し、人間が本来持つ野生の勘で先手を打っています。これは金融世界の話だけではないと思います。こういった視座を高められることもこの映画の魅力です。


まとめ

今回は『マネー・ショート』のご紹介でした。映画の結末には続きがあります。それは映画を見てご自身で確かめてください。バーリーたちは予想が的中しましたが喜んで「ハイ、終わり」と痛快に終わらない所も非常にカタルシスです。

同じ過ちを繰り返すのが歴史ですが、それを繰り返さないために歴史から学ぶことに意義があると思いますので、この映画は経済が不安定な今この瞬間だからこそ見て損はない映画ですし、自分のマインドセットにもいい影響をもたらしてくれるかと思います。

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