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固定観念と偏見をぶった斬る!【アジズ・アンサリの”今”をブッタ斬り!】

このnote記事はエンタメ大好き社会人(新卒)である私がエンタメ作品で面白く教養と視座を高めることを目的とした、「意識高い系な人」向けの記事です。記事内には「アップデートポイント」があります。私が考えたポイントですのでそれに対する賛否両論の意見感想などはウェルカムですが、作品自体を誹謗中傷するようなことはここではお控えください。

今回ご紹介するのは映画で、『アジズ・アンサリの”今”をブッタ斬り!』です。スタンドアップコメディアンのアジズ・アンサリが脚本を書き、監督は『her/世界でひとつの彼女』や『かいじゅうたちのいるところ』で有名なスパイク・ジョーンズ監督です。アジズも最近何かとよく注目されているスタンドアップコメディですね。ネットフリックスのみで視聴可能です。

アジズはインド系アメリカ人でインド人俳優として業界で生きている自分を面白おかしく描いた、ネットフリックスのオリジナルシリーズの『マスター・オブ・ゼロ』の原作者としても大成功しています。私も今シーズン1を観終えるところです。そこで、関連で出てきたのが今回ご紹介する『アジズ・アンサリの”今”をブッタ斬り!』です。


スタンドアップコメディって?


スタンドアップコメディとは、日本でいう漫談のようなものと似ています。しかし、内容や形式が異なっています。スタンドアップコメディで扱われる内容は、ジョーク、人間観察、下ネタ、政治、宗教、人種差別など幅広く、演者が皮肉を交じ得てストーリーテラーするのが特徴です。形式もオーディエンスとの対話形式です。これまで、笑いのみの体験を提供していたコメディの形態とは異なり、時々、観客に深いイシューを投げかけ考えさせられる場面や、不快にさせることがあるという点では”オルタナティブコメディ”って言われていたりもします。

分かりやすいイメージ、笑いながら教養を高めたり、視野を広げることができて、なおかつプレゼンの参考にもなるという、無茶苦茶お得で価値の高いエンタメコンテンツだと思ってもらえるといいかなと思います。(これ見たらいつものお笑いに物足りなさを感じる時もありますので注意が必要です)


この作品の見どころ

丁度1時間程度の映画で時間的にも見やすいですし、何しろアジズのプレゼンが面白くてそして、上手い。分からない時事ネタや知らないことも多少はありましたが、何も知らない日本人でも笑えるポイントはたくさんあります。映像体感的には60分が15分くらいに感じました。

一番の見どころは、アジズのトーク力と笑いのセンスです。決してシニカルにならずに、社会批判やセクシャルなことをユーモアを交えて聴き手に語り掛けます。聞いている側は胸糞悪くなるようなことはなく、根底にはどうしようもない社会を肯定する温かいアジズの目線やメッセージがあります。スパイク・ジョーンズが監督ということもあるのか、時にグッと惹きこまれて感動する場面もあっ「最高のスタンドアップショーを観たな」という感覚になりました。

ネタバレはなるべく避けるようにしますが、タクシーと人種差別の下りを面白おかしく語る場面が一番笑いました。人種差別がない国出身の彼女と、人種差別を経験してきたアジズの矛盾の中から生まれるストーリーが深いイシューを笑いを交えて私たちに問いかけます。「国や肌の色を枕詞にするのって、いつの時代の人?」みたいな。

他にも「かぎ十字のピザが送られてきた」という嘘の話に、一部の人が知っている振りをしてアジズがからかうシーンなんかも卓越でした。あんな会場一体型のプレゼンを笑いを交えてできるというのは私たちもスキル面で学ぶことが多いですね。

あまり書くとネタバレになりそうなのでここまでに。是非おうち時間の際の笑いと教養のために観てください。何かご感想や感じたことがあればお気軽に聞かせてください。


アップデートポイント:過ちを認める素直さと、笑いに変える編集力を

さて、この映画のアップデートポイントはどこかと言いますと、アジズが自分の過ちを素直に認めて、自分をさらけ出し笑いに変えていく編集力です。というのも、アジズは女性からセックス・ハラスメントの被害で一度行き過ぎた「#MeeToo」騒動にあっていたんですね。

あまり詳細は知らないので深く語ることはできませんが、詳しく知りたい方は元記事のリンクを貼っておきますのでそちらから参照してください。<アジス・アンサリとデートしたけど、最悪の夜だった>というタイトルの記事です(元記事)。

日本のコメディアンも自分をさらけ出して笑いをとるという自虐ネタがありますよね。ノンスタの井上さんが事故を起こしてそれを笑いにするという例があります。これは海外でも同じ笑いのスタイルとしてありまして、どれだけ自分をさらけ出せるかが肝になってきます。

アジズは一連のごたごたにとやかく言うこともなく、事実を受け止め素直に謝罪をします。本当は納得がいかない点もあったかもしれないのに素直に謝るということはできた人にしかできないと個人的には思っています。

その謝罪が、Netflix『アジズ・アンサリの“今”をブッタ斬り!』になりました。英題だと、「Aziz Ansari: Right Now(アジズ・アンサリの今)」ですが、この邦題はブッタ斬るつもりの自分がブッタ斬られた、ということでしょうかね(笑)。

素直に過ちを認める素直さと、笑いへと変えるアジズの編集力は本当にすごいです。絶対に笑いに変える必要はありませんし、笑いに変えるには時間が必要な場面もありますでしょう。そういうときは、起こった不祥事や失敗したことがいずれ笑いに変わることを見越して自分ができる行動坦々とすることが大切なんでしょうね。

今までのアジズは、恋人はいても結婚や子育てはしない気楽なシングルライフのおかしさ・悲しさををネタにしてきましたが、今回は「家族、友人、恋人」が一番大切ということをテーマに過ちを温かい笑いに変えてくれました。これを見ると自分がしたミスや過ちもいずれ笑いに変わると思えるようになりますし、過ちを恥じることも引きずることもなく、次の自分の糧になるように編集していこうという気持ちになりました


まとめ

いろいろあったアジズアンサリのスタンドアップコメディ。「社会的、道徳的にこれは笑っちゃいけないんだろうけど、この感じは共感できる。自分は口に出せないけどアジズは言ってくれた 」っていう笑いがあります。なかなか日本では体験できない笑いだと思います。

アジズはR Kelly、Crazy Rich、痴呆症、ピルなど繊細な話題についても笑いに変えました。また私たちがいかに情報に踊らされているかについても。しかもそれで誰も傷つけないという笑い。

高度な笑いと、アジズの誠実さとユーモアを同時に体感することができるスタンドアップコメディ。是非時間がある時に優先してみてみてください。

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