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春の喜びを食す〜和え物の奥深さ

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父と電話していたら、うぐいすの声が混じって聞こえた。
田舎は桜がやっと見頃で、寒さも緩んだ朝に
日課である庭の花を見まわりながら電話してきたのでしょう。
水仙や野花もきれいに咲いているだろうな。
いつもの春の風景に、いつもの父の姿が
鶯の鳴き声と一緒に浮かんでくる。

嘘みたいなコロナばかりの世間から、妙に現実に引き戻されたような気がして、電話越しなのにと不思議な感じでした。


さて前回に引き続き、山菜のことなど。

母が家の周りで採れた山菜を送ってくれて、大好きなこごみも入っていました。
クセも無いし、下処理もなく美味しく食べられる山菜です。白和えが食べたいと思って、もう豆腐の水切りをしておいたもんね。

和え物を作る時ってイメージが大切。
(前回の天ぷらの回でも書きましたが)
具材の1つ1つをどう下ごしらえし、それらを和えた時に、どんな料理となっているか。

例えば白和えと言っても…
干し椎茸を水で戻し、その戻し汁で炊く。戻し汁は全量使うと、香りが強くなるので注意。
こんにゃくは下茹でして臭みをぬき、醤油の風味に炒りあげる。
人参は口当たり良い細さに切り、さっと茹でる。
青菜を色鮮やかに湯がき、出汁につけて旨味を含ませる。
豆腐を水切りし、裏ごししてなめらかな衣にする。
丁寧に作るとこんなに手間がかかるもの。
それぞれの個性を残しつつ、他の邪魔をしないよう仕立て上げる。
だからこそ食べた時、さらりとした豆腐の旨味の後に、素材ごとの美味しさが心地よく広がるのです。

さて、今回の具材はこごみオンリー。
こごみの美味しさを存分に味わえます。
それでは作りましょう。

こごみは塩茹でし、下味をつける

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お湯の塩分は、しょっぱさを感じる位のしっかりめ。
ここで下味がつくことで、食べた時の衣との味のバランスがとれ、水っぽい味になりませんし
お豆腐に加える塩分を減らせるので、印象としては丸味のある味になります。
歯ごたえ良く火が通ったら、水にはさらさず、ザルに上げて冷ましましょう。

豆腐は木綿?絹ごし?

木綿でもったり絡むような衣にするか、絹ごしの口溶け良い衣にするのか。どちらも美味しい。
だから最初にイメージしましょう。自分が食べたい白和えのテクスチャーはどっちかな?
そして、たっぷりの衣で和えるか?
少なめの衣にして、素材を楽しむ?

今回はこごみのわさわさした食感に合わせ、木綿豆腐をチョイス。粗めにつぶし、食べ応えのある衣を目指します。固めに湯がいたこごみとも合いそう。 

豆腐の味付け 組み立て方

塩、醤油、胡麻、砂糖が一般的な味付けかな。

塩茹でしただけの素材を和えるなら、衣自体に旨味を持たせると美味しい。味噌やマヨネーズを加えるとコクが出るし、葉ものの青くささを柔らげてくれます。

えぐみ、苦味のある物を和えるなら、甘さを少し加えると食べやすくなります。例えば爽やかな蕗の香りに、練り胡麻入りの甘めの味付け。

変わりダネだと、クリームチーズを入れても美味しい。柿と春菊の白和えは白ワインに合います。

夏はお酢をきかせてさっぱりと。白酢和えと言います。蒸した南瓜を和えて、胡桃で食感をプラスしたり。

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今回は献立的に箸休めではなく、ご飯に合うしっかりめの白和えを作りたかったので
木綿豆腐、味噌、マヨネーズ、お酢で味付け。
マヨネーズは隠し味程度にし、スプーン一杯ほどの酢で味を引き締めました。

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こごみの白和え、胡瓜のキムチ、赤蕪の甘酢漬け。お家にこもりっきりの生活だと、このくらいのおかずが丁度いい。




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