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農家の娘的、ご飯の楽しみ

うちの実家は岩手の米農家。
山間で大きな川も無く、池に溜めた湧き水を引いて米を作っています。
水源は神様のように大切にしてきました。

さて、今年の新米はもう食べましたか?
甘い香りに、ぴかぴかのツヤ。
日本人で良かった〜と思う瞬間!

よくお米は、あまり研ぎすぎない方が良いと言われます。以前より精米の技術が上がっている為「研ぐ」というより「洗う」くらいでいいみたい。その技術の進歩には父も驚いていました。

そう言えば幼い頃、精米したてのお米は熱を持っていて、冷ます為に広げて扇風機を当ててたっけ。そんな光景も見なくなったので、お米にかかる熱の負荷も少なくなったのでしょう。

特に新米はみずみずしい香りが持ち味なので、風味を残すようにささっと洗います。

人によって違うけど、私の米の研ぎ方は

①まず米を入れたボウルに水をためて、底から2回混ぜて水を捨てます。これを2セット。
(お米は最初によく吸水するので、かき混ぜると水が濁り、匂いの溶け出した水を吸わせることになります。ここでは手早く、表面の汚れを流す程度に)

②新米は柔らかいので、米同士が擦れて割れないよう、少し水を残した状態で米を洗う。猫の手の形で指を立て、流れるように大きく円を描きながら洗う。ぎゅっ、ぎゅっと押さないこと。あとは水を足してすすぐ。
これを1〜2セット。
夏場の酸化したた米の時は、1セット追加したり
水をきった状態で研ぎ、米同士の摩擦を強めてあげます。

③水の濁りをとる為、2〜3回程すすぐ。
新米は濁りを完全にとらない方が風味が残って美味しいですが、その辺の加減は米の個性によるのかなと。
新米でも匂いの気になるものは、多少多めに流してすっきりさせます。

酸化した古米などは、濁りが無くなるまでしっかり流し、それでも気になるようならスプーンひとさじの日本酒を加えて炊くと、香りが良くなりますよ。酒臭くならないように、ほんの少しで良いです。

ちなみに、うちの父が育てたお米は酸化しづらいの。米本来の個性、保存の仕方や精米の仕方など、いろいろ理由はあると思うのだけど、夏を超えても嫌な匂いがせず、旨味ものって美味しいまま。
新米だとほんとに軽ーくしか洗いません。
だから他のお米を同じように洗うと「あれ?」と思う事があります。
買ったばかりでも匂いの強いお米もあるので、そのへんの加減は、炊いて食べてみるのが1番ですね。

最近は土鍋で炊くのも一般的になってきました。
その時に是非食べて欲しいのが「煮えばな」。
火を止めてからすぐの、蒸らす前のご飯。
「お米」から「ご飯」になる直前の状態で、まだ中心は少し固く、米粒の周りに水分をまとっています。
土鍋の温度が下がらないよう、素早く茶碗にひとすくい。
熱々の湯気と立ち上る強い香り、口に入れた時のみずみずしい食感。噛みしめると広がる甘味。
蒸らしたあとのご飯とはまた違う、美味しさを発見出来ますよ。

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冷めても美味しい土鍋ご飯は、おにぎりも最高。
いい海苔が手に入ったら試して欲しいのが、具の無いおにぎりです。

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海苔も具も無い「塩むすび」の美味しさはよく知られていますが、美味しい海苔とご飯の相性の良さと言ったら。具が要らないと思える程、美味しいのです。
塩をふって握ったら、海苔をたっぷり巻いて。
冷めて、海苔とご飯がしっとり馴染んだところを頂きます。

以前、九州出身の知人に有明の初摘み海苔を頂いた事があったのですが、さすが地元の人は、美味しい物を知っているんですね。
いい香りがして、口溶けが良くて。
この海苔で巻いたおにぎりは、本当に美味しかった。

そう言えば実家でも、黒々とした厚みのある海苔を使っていたのを思い出しました。
私は祖母に育てられ、贅沢はしない人でしたが、安くても不味いものは買わない人。
父の美味しいお米は、美味しい海苔で巻きたいと思うようになり、海苔は選ぶようになりました。
そしたら、食べた時の美味しさはもちろん、満足感が違う。
朝、ぱぱっと握ったおにぎりが、ごちそうになります。

土鍋で炊いた時、鍋底で硬く固まってしまったご飯は、冷凍しておきます。
ある程度たまったら、おかゆか雑炊に。
カチカチのご飯も美味しく食べられますよ。
トッピングをいろいろ用意して、アレンジしながら食べます。漬物、ピータン、ねぎ、生姜、ザーサイ、パクチー、など何でも。
でも最後は梅干しでシメたくなっちゃう。

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みずみずしい新米ですが、冬になり年を越えると水分も落ち着いてきます。
そして旨味が出て、またどんどん美味しくなります。
新米も古米も、それぞれの良さがありますよね。季節とともに変わるお米の美味しさを、楽しみましょう。





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